緊張やプレッシャーが良い方向に動く時もありますが、それが過度になり過ぎると「いつもはしないミスをしてしまうこと」ってないでしょうか・・・。
私はあります。
緊張する時というのはすでに「いつもと違う状況」なわけです。
例えば、モデルに「なりたて」の頃、ありがたいことに最初に決まった雑誌が「CanCam」で、その後「JJ」に専属モデル契約をしていただきましたが、撮影の時は常に緊張していました。
まず、当時のそれ系の雑誌(CanCam,JJ,ViVi,Ray)はとにかくたくさんの情報を載せる(洋服のカットが多い)事が「売り」でしたので、必然的に1日の撮影量が多くなり、それを全て消化するためには、ロケの集合時間がめちゃめちゃ早かったのです。(それは今もかも知れませんが)
6時は当たり前で、下手したら5時台の日もありました。
始発が動いていなければ、タクシーで向かいます。
私はいくら「第二の都会大阪」(と言ってるのは大阪の人だけとのちにわかった)から出てきたとはいえまだ高校を卒業したばかりの18歳、タクシーに一人で乗る事だけで若干緊張していました。
今のように「タクシーアプリ」なんてもちろん無いし、迎車を頼むなんて生意気な気がしたし、料金も余分にかかってしまいますので、「広い道に出て拾う」という昭和な方法しかなく、まずそれが不安・・・。
タクシーをうまいこと捕まえるまでに10分から15分は余分に時間をみておかなければいけません。
更には今のようにナビが全車両についているわけでもなかったので、事務所から届いたFAX(感熱紙)の見にくい地図を運転手さんに渡して集合場所のメイク事務所や出版社までお願いするのですが、この運転手さんの当たり外れが今より大きく、たまたま「田舎から農作業のない時期だけ出稼ぎに来ていてそれも今期が初めてです」なんて人に当たってしまうと、道を全く知らないため、遠回りをされたり、間違われてしまわれたりする可能性も多々あるのです。(実際それで1度だけですが15分も遅刻した事があります)
とにかく無事に集合するだけで、私にとっては緊張の連続の大仕事
な訳で・・・何度も詳細FAXを見返して確認するのですが、1度フワフワし過ぎて5時半なのに4時半に表参道に一人だけ集合してしまった事がありました。
自分の時計を見間違えたのかなんだか原因がよくわかりませんが、その日は運悪く、国道246号沿いに停めてある「ロケバス内でメイク」の日だったのでロケバスが来るまで外で立って待たなければなりませんでした。
しかも真冬の寒い日。
今だったたら24時間営業の近いファミレスなどをスマホで探して移動して待ちますが、もちろんガラケー時代、どうしようもありません。
またタクシーに乗って家に帰るほどの時間もなく(自分のミスに気付くまでに15分は経っていた)寝静まっているおしゃれタウンの真ん中でブルブル震えながらロケバスさんが早めに到着してくださることを祈るように待っていました。
やっと到着したロケバスに乗り込んだ時には体も冷え切っていましたがそんなことをあっけらかんと笑って言えるようなキャラではなかったため(今なら言えるけど)、何事もなかったかのように
「おはようございまーす。」
と、乗り込んだ自分の情けない心境を今でもよく覚えています。
撮影中もミスの連続で、ブランドものに興味もなくよく知らなかった私は衣装で高級ブランドの靴を用意してもらった時に、
「ようこちゃん、トントンしたらダメよ。」と言われ、(爪先を地面にトントンして履いたらダメという意味)
「え、なんでですか?」(スニーカーとかはトントンして履いてたのかな、それもあかんけど)
「セリーヌだから。」
「あ、そうなんですか?なんでセリーヌだとダメなんですか?」
(本当にわからなかったんだと思う)
「・・・高いから!!」
と、スタイリストさんにイラッとされたり、これまた衣装のきらびやかなイヤリング(当時は大ぶりのイヤリングが流行っていた、今ではほぼピアス)を受け取る時に慌てすぎて、よく落としてしまい、
「ようこちゃん、手がゆるいの?」
とまたスタイリストさんに謎のお叱りを受けたりしていました。
日常生活の中で誰かから何かを受け取る時に落としたりはしなかったのでやっぱり緊張し過ぎていたんだと思います。
若かりしモデル時代(今もやってるけど・・・)
私はこんな感じですが、夫は生まれつきなのか、今まで生きてきた中でそうなってしまったのかわかりませんが、
「人に威圧感を与える」才能?がある
みたいで、私含めいろんな人が、(特に歴代マネージャーさん達)夫の前では「緊張してミスをする」という現象を巻き起こします。
マネージャーさんのミス話は以前もご紹介しましたのでここでは割愛させていただきますが、相当あります。
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