第1章 ぶれない子育ての大原則
【生活のしつけ】「迷ったときはお母さんの顔を思い出して」と言える親に
「家は途中で建て替えられるが、教育はあとから組み替えたり、付け足したりはできない」
これは嫁ぎ先の義理の母が教えてくださったことばで、息子二人が東大生になった今、改めてその意味を実感しています。
私は、教育には2つあると思っています。
ひとつ目は、常識やマナーを身につけて、善悪の判断ができる人間に育てる教育。
2つ目は、社会で生きるために必要な知識や判断力を身につけるために、学力を身につけさせる教育です。
ひとつ目については、幼児期の頃から繰り返し教えてきました。
人に迷惑をかけない、嘘をつかないということに関しては、幼児期の頃からイヤというほど言い聞かせてきました。やっていいことと悪いことの判断に迷ったら、「お母さんを悲しませるようなことはしないで」と伝えました。
人に会ったら必ず挨拶をする。食事のときは音を立てて食べない。箸は正しく使う。和食、洋食など料理に合わせた行儀作法を守る……。
こうした常識やマナーも、一度、間違った習慣が身につくとなかなか直りません。ですから、小さいうちに体で覚えさせることが大事です。
また、家で食事するときは、お皿を出したり運んだりお手伝いするのも息子たちの役目です。食べ終わったあとのお皿も、必ず台所まで運ばせました。小学校高学年の頃からは、お皿洗いやお風呂の掃除もたまにやってもらうようになりました。
何もわからない子どもに、将来、自立するための生活習慣と人として恥ずかしくないマナーを身につけさせるのは親の役目ですから、そこは徹底しました。
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