長谷川踏太(クリエイティブディレクター)→渡辺 明(棋士) Vol.2「勝負はどうやって決するのですか?」

今回のインタビュアーは、イギリスを拠点にするクリエイター集団tomatoのメンバーとして世界的に名を馳せ、現在はワイデン+ケネディ東京のエグゼクティブ・クリエイティブディレクターとして、広告を中心にさまざまな分野のデザインを手がけている長谷川踏太さん。そんな長谷川さんがインタビュー相手に指名したのは、15歳でプロデビューし、弱冠20歳で将棋界のビッグタイトル・竜王位を獲得した天才棋士・渡辺明さんです。一見意外にも思える組み合わせですが、将棋界の未来を担う渡辺さんに、長谷川さんがいま聞きたいこととは果たして?

勝負はどうやって決するのですか?

Q. 戦術の研究というのは、終着駅がないまま延々と続いていく感じなんですね。例えば、30年後の将棋はどうなっていると思いますか?

渡辺:少なくとも2013年現在の僕らのレベルからすると、この先どうなっていくかはわからないです。でも、先ほどもお話ししたように、基本的には掘り起こしていける部分がどんどん狭くなっていくのはたしかだと思っています。ずっと決められたルールの中でやっていて、いまさら「歩」が一枚増えるとかそういうことはないわけですからね(笑)。また、ネットが一気に広がったこの10年くらいのような爆発的な環境の変化というのも今後はそんなにないと思うんですね。いますでにリアルタイムでデータベースを見られているわけで、それ以上のことというのはないわけですからね。

Q. 例えば、対局の時に過去のデータベースを見ながら指せたら無敵だったりするんですか?

渡辺:無敵ということはないですけど、やっぱり有利ですよね。ただ、過去に事例がある局面が、ずっと続くわけではないですからね。プロの将棋の平均手数は120手程度と言われているんですけど、40、50とどんどん手が重なっていくと、当然同じ局面のデータというのは減っていくわけですよね。最終的に過去のデータがなくなったところからは、お互いの力比べになりますね。

Q.途中まではすでに誰かと通ったことのある道で、その都度一緒に歩いている相手が違うという感覚なんですね。

渡辺:当然お互いに過去のデータを頭に入れた上で戦っているわけです。ただ、途中まではありきたりだった景色も、ひとつ新しい手が出てくるとガラっと変わって見えてくるんですよ。そういう部分で勝負をしているという感じですね。

Q. 一緒に仲良く歩いているようでいて、お互いにどこかで仕掛けてやろうと思っているわけですね。

渡辺:そうです。大半は先に仕掛ける方が有利ですね。というのも、仕掛ける側には当然準備があって、相手をその方向に誘導をしていくわけで、その時点で用意周到に先の先の先の手まで考えているんですね。一方で仕掛けられた側は、その手が初見だったとしても、その場で何かしら対応をしないといけない。だいたい対局に勝つ時というのは、こちらが誘導した方向に進み、一歩リードしたままゴールするという感じです。

競馬も理詰めでやるのですか?

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