2018年10月中旬、東京・霞が関にある総務省の地下講堂を、スーツ姿のビジネスパーソンが埋め尽くした。この日開催されたのは総務省とIT業界団体「日本IT団体連盟」(会長=川邊健太郎ヤフー社長)が開いた「情報銀行認定」に関する説明会だ。金融やメーカー、ITなど、当初想定を大幅に超える約200社、400人超が朝から詰めかけた。
情報銀行とは、個人から買い物の履歴など個人情報を預かり、本人の同意を得たうえで活用したいほかの企業に提供するサービスのことだ。2017年に施行された官民データ活用推進基本法に基づき、内閣官房IT総合戦略室や総務省の情報通信審議会で検討が重ねられ、任意の事業者認定制度が実施されることが望ましいとされた。日本IT団体連盟がこの審査・認定を担い、19年3月には認定第1号を出す予定となっている。
政府が情報銀行の事業化を後押しする背景には、米国の巨大IT企業「GAFA」(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)の存在がある。サービスの利用時、検索履歴や購買履歴、位置情報などの個人情報が収集され、一部は第三者に提供されている。
日本の個人情報保護法では、個人情報の第三者提供には原則本人の同意が必要だ。企業が形式的に同意を取得しているとしても、実態としては本人の意識が十分ではないケースがほとんどで課題となっている。同時に、この制度で個人情報保護への信頼が高まればデータの流通が促進され、経済活動が活性化すると期待されている。
すでに複数の企業が、情報銀行への参入に向けて動きだしている。
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