「一握りのエリート層が強大な力を持ち、大多数の無用者階級を支配する。世界はかつてない階層社会に突入する」
『ホモ・デウス』の中で、このように未来の社会を予言するユヴァル・ノア・ハラリ氏。現代の世界において同氏の言葉を予感させる国がある。シンガポールだ。
建国からたったの53年。シンガポールは世界で最も成功した国として知られる。
国民の豊かさの指標となる1人当たりGDP(国内総生産)は650万円と、アジアで1位。1965年の独立時から比べると100倍以上もの伸びを記録し、日本の1・5倍の水準だ。国際競争力も世界3位と、日本の25位を大きく上回る。世界大学ランキングでも、同国を代表するシンガポール国立大学は23位と東京大学の42位を超える。
一方で人口は560万人と少なく、国土も東京23区とほぼ同じ面積しかない。生活用水さえもマレーシアから輸入せざるをえないほど資源がない小国は、なぜ成功を続けているのか。大きな特徴は、選別に基づいた徹底したエリート主義だ。
建国の父リー・クアンユーは生前、次のように述べたことがある。
「人間の行動のほとんどは遺伝子によって決まる。政府の役割は、優秀な人材を見極めること。エリートをいかに生み出すかに、シンガポールの将来が懸かっている」
経済を成長させるために、いかに優れたエリートを確保するか。国父の徹底した選別思想は、シンガポールのDNAに深く刻まれている。
国家がエリートを育成 外国人も選別の対象
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