この連載で論じてきた通り、IT革命は仕事を後進国へとシフトさせ、単純労働はロボットの手へと移りつつあります。先進国における人余りは、現在進行形の現実です。
IT時代に大量に余るもの、それは「情報」と「人間」です。未来を占うヒントは、この「余りもの」にあります。まずは歴史を紐解いて、人類がどんなふうに余りものを活用してきたのか振り返ってみましょう。
余剰なリソースの「消費は美徳」
安いリソースを大量に使う。これが人類のこれまで辿ってきた歴史です。例えば産業革命以前は、人余りの時代でした。支配者や金持ちたちは奴隷や召使いを大量に抱え、現代の家電製品さながら、身の回りのことを人間という「息をする道具」たちにやらせていたのです。そんな時代が長く続きました。権力者たちは奴隷たちを駆使して巨大な神殿やピラミッドなどを建築し、人権などという言葉は存在しませんでした。日本でも豪商たちが丁稚奉公を大勢抱え、食事の支度から清掃に至るまですべてを賄ったのです。