Twitterのタイムラインを見ていると、延々と議論を続けている人がいます。
ところが最初は紳士的に始まった議論も、なぜか建設的な方向にいくことは稀で、最後はたいてい、罵倒合戦になって終わってしまうようです。
「朝まで生テレビ」や国会を見ていて、「もっと建設的に議論できないのかな」って思う人も少なくないと思うんです。
どうして議論が紛糾するのでしょうか?
日本が取り残されている世界の教育の「常識」
議論が紛糾することと、何もかもが炎上するのは似ていると思う。
前も書きましたが、マレーシアでの一般人はそこまで「議論」しないです。
おそらく人種や宗教が違うため、はなから「お互いを理解できない」と思っているから。
ところが、「日本語」という言語が揉めやすい構造になっている上、日本人同士、「話せばわかりあえる」と思っている節があると思います。
さらに、学校で習ったことが「正義」と「悪」の白黒思考だったりします。「田中くんはなんで悪かったと思いますか?」「掃除をサボったからです」みたいな会話を、教室で聞いたことがある人、少なくないのでは。
私もずっと世の中のすべてのことに、「正解」と「不正解」があるんだと信じてました。だから「論理的に話せばわかってくれるはず」と無駄な議論をたくさんしました。
しかし、この白黒思考って、今海外の教育で主流となっている「批判的思考力」では「やってはいけないこと」なんです。
マレーシアのインターナショナル・スクールでは、どこもたいてい一番に「我が校では批判的思考力を育てます」と言っています。世界的にも、すでに「批判的思考力」を教えるところが半数を超えてるみたいです。
経済協力開発機構(OECD)が、48カ国・地域の小中学校段階の教員を対象に行った『国際教員指導環境調査2018』という調査でも、「批判的思考力」を教えている学校が世界的に増えていることがわかります。欧米はもちろん、シンガポールや韓国、中国もそうらしい。
このような指導をしていると回答した教員の割合は、やはりというか欧米豪が高い傾向があり、アメリカは78.9%、カナダ(アルバータ)は76%、イギリス(イングランド)は67.5%、オーストラリアは69.5%となっている。
ただ、他の国もそれほど低いというわけではなく、アジアではシンガポール54.1%、台湾48.8%、韓国44.8%。イデオロギー的に国民の体制批判に敏感な中国(上海)でさえ53.3%、ロシアも59.7%なっており、48カ国の平均でみると61%だった。
このOECD調査から浮かび上がるのは、子どもたちに対して、「なんでもかんでも言われたことを鵜呑みにするのではなく、自分の頭で論理的に考えてみなさい」と教育するのは、社会や文化に関係のない「世界の常識」ということだ。
が、この常識に頑なに背を向けて、我が道をつき進む国が1つだけある。そう、我らが日本だ。先ほどの調査で47の国・地域が40〜87%の範囲におさまっている中で、なんと日本だけが12.6%と、ドン引きするほどダントツに低いのである。
(DIAMOND online 「うがい薬買い占め」で露呈する、日本の学校教育の致命的欠陥)
日本の人たちが気づかないうちに、世界の教育の「常識」が変わってた。私もマレーシアに来て、このことを初めて知りました。
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