「寝たきり老人」はいない 延命治療を控える欧米の常識
北海道中央労災病院 院長・宮本顕二
江別すずらん病院 認知症疾患医療センター長・宮本礼子
死に向かうとき、人や動物は少しずつ食べなくなり、空腹やのどの渇きを感じなくなる。これは、体が水分と栄養を必要としなくなるからだ。
だがわが国の高齢者は、老衰や病気の終末期に口から物が食べられなくなると、当たり前のように人工栄養(点滴、鼻チューブや胃ろうからの経管栄養)が行われる。そのため高齢者の病院は人工栄養で生かされている何もわからない寝たきりの患者が多くを占めている。
たんの吸引は苦しみを伴い、不快な人工栄養の管を抜こうとする高齢者は、手が縛られる。このような最期を本人が望むはずもない。ある外国人の医師が日本の病院を見学したとき、「日本には物言わぬ寝たきり老人がたくさんいる!」と驚いたそうだ。
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