自分は愛されない存在だ」という思い込みをはがすために必要なこと

「だから、わたしは若い頃に恋愛をほとんどしていません」とも書いてある今回。恋の話をするかと思ったら、まったく違った。言語化の鬼と呼ばれるサクちゃんですから、自らの恋愛観もきちんと言語化しています。それは、恋とは真逆の行為。早く恋の稲妻が、彼女の心臓に落ちればいいのにね(余計なお世話)。そんな連載第22回、毎週火曜日更新です。

蘭ちゃんへ

こんにちは。 東京はようやく雨、雨、雨の日々から抜け出しそうです。今年の梅雨は長かったように感じたし、昨今の状況も伴ってかなりしんどかったよね。どんな夏になるのかまだ見えない不安はあるけど、ひとまず、おつかれさま!

人間関係の「ドーナツ化現象」と「密室化現象」の話、そうか、蘭ちゃんは「密室化現象」の傾向があるのね。

それによって「命短し恋せよ乙女」と、共依存がちの恋をしていたと。なるほどー。それは濃すぎる日々に辛いこともあったかもしれないけど、わたしとは真逆なので、ちょっと羨ましくもあるなあ。ないものねだりだね。

わたしの場合はどうだったかなと思い返すと、結論から書くと、子どもの頃から、いちばん身近な関係である両親とうまくいかなかったことから、「自分が愛される存在であること」を、はやいうちに諦めていたのだと思います。

同じ状況でも、「愛されたい!」と親以外の人にぶつかり稽古のように挑む人もいて、蘭ちゃんもそうだったように、それを恋愛に求めるのはよくあることなのかもしれない。でも、わたしは諦めが早くて「どうやら自分は愛されないっぽいな」ということにして、求めなかったのです。

だから、わたしは若い頃に恋愛をほとんどしていません。誰かがわたしのことを好きだと言ってくれることがあっても、「そんなことがあるわけない」と、ぜんぜん信じていなかったからです。謙遜でも自信のなさでもなく、堂々と「相手のことをよく知らないのに、好きだと思い込む人がいるんだな」と思っていました。

大人になってからそんな話をすると、「その思い込みこそが恋でしょ!」と笑われます。振り返ると、わたしに足りなかったのは、恋に限らず「思い込む力」だったのだとよくわかります。

将来について、いいことが待っていると思い込んで「こうなりたい!」と夢を持つことができなかったことと、恋ができなかったことは、おそらく同じ作用です。本来はあるはずの湧き出る感情や衝動を、諦めることで抑えてしまったからです。恋でいうと、「好きなのに諦める」のではなく「誰かを好きになることを諦める」ことでした。

*ー*ー*

そんな感じで10代を過ごし、その後どこかで変換期がくればよかったのですが、18歳から親の介護、23歳から子育てで忙しかったので、諦めたままきてしまいました。

そして、今はどう考えているかというと、まずは「自分の感情を無視しない」というのを大前提に、感情を取り戻すために「うれしい」や「楽しい」や「すき」がどこにあるか、察知するようにしています。(ふと今これを書いてドリカムの「うれしい!たのしい!大好き!」の歌詞を検索してみたら、わたしの持っていなかった思い込みのすべてが書いてありました。すばらしい)

とはいえ、恋に関しては意思に関わらずおちてしまうもの(落ちる?堕ちる?)だとしたら、自分ではコントロールできないので、一旦置いておきます。

考えられることはコントロールできることだけなので(逃げてるのかな)、最近考えているのは、関係性についてです。

*ー*ー*

わたしはここ数年、自分の過去を掘り返して編集し直すような作業をしていました。それは、「どうしてこうなっちゃったんだろう?」ということを、遡って観察して、「よくない思い込みのフタ」を剥がすためでした。

今回の話でいうと、子どもの頃に「愛される存在ではない」と思い込んでしまったことは事実で、その過去を変えることはできないけど、「どうしてそう思っちゃったんだろう?」と観察しなおしてみると、両親と相性が悪くてつまずいてしまったときに、「愛されない」と悲しみ続けるよりも、一旦「しょうがない」と諦めることで自分の存在を守ったのかもしれないなと思いました。

そうやって適当な理由を見つけて、「だからこう思い込んでしまったんだね」とわかると、ようやくそのフタが取れるような気がしています。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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