履中(りちゅう)天皇スミノエノナカツの叛乱。天皇の即位①
イザホワケ(去来穂別天皇=第十八代履中(りちゅう)天皇)は仁徳天皇の嫡子で、母はソツビコ(葛城襲津彦)の娘・イワノヒメ※1(磐之媛命)です。
父・仁徳天皇の喪が明けて、まだ皇太子のときに、ヤシロ(羽田矢代宿禰)の娘・クロヒメ(黒日売)と婚約して、弟皇子・スミノエノナカツ(住吉仲皇子)を使者に立て、婚礼の吉日を伝えさせました。
ところが、スミノエノナカツは、皇太子の名を騙(かた)って、クロヒメと関係を持ってしまったのです。
そのとき、スミノエノナカツは、手に巻いていた鈴※2を、クロヒメの寝台に、置き忘れていってしまいました。
翌日、何も知らない皇太子は、クロヒメの家に出かけて行きました。寝室に入って、帳(とばり)を開いて寝床にくつろいだ、そのとき、鈴が鳴りました。訝(いぶか)しく思ってクロヒメに聞きました。
「これは、何の鈴だろう」
「あら、それは昨夜、皇太子様がしていらっしゃった鈴ではありませんか。どうしてそんなことをお聞きになられるのです」
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。