「誤解を生じた方々に謝罪いたします」
石原慎太郎という人は「頻繁に暴言を吐く人」として知られているが、ただただ、「自分の発言に責任を持たない人」なのではないかと思う。一文字違いだが、「自分の発言に責任を持てない人」とも言える。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された件を受けて、石原が滅多に投稿しないTwitterを更新、ALSを「業病」とした上で、殺害に及んだ医師を擁護し、「武士道の切腹の際の苦しみを救うための介錯の美徳も知らぬ検察の愚かしさに腹が立つ。裁判の折り私は是非とも医師たちの弁護人として法廷に立ちたい」と主張した。その後、前世の悪業の報いとの意味を持つ「業病」という形容に批判が集中すると、「ALSを難病とせず業病と記したのは偏見によるものでは決してなく、作家ながら私の不明の至りで誤解を生じた方々に謝罪いたします」とツイートした。
偏見ではなく不明の至り、なのだという。己の「不明」(=物の道理がわからないこと)が原因なのに、受け取るほうに「誤解が生じた」と続けるのは、意味が不明である。なにかと文学者としての己を声高に強調される方なので、言葉に厳しく迫りたいが、「誤解」というのは、特定の事実や言葉を誤って理解してしまうことを意味するのであって、そちらが誤っていたことに対してこちらが不快感を覚えたのは、「誤解」ではない。
すぐに言い訳する
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