吉祥寺のラブホで演技くさい喘ぎ声を聞きながら飲むお酒

「cakesクリエイターコンテスト2020」の優秀賞受賞者、時田桜さんによる連載です。ラブホの素敵をお伝えするレビュー第二回は、吉祥寺にある「昭和の連れ込み宿」。ひっそりと佇む外観ながらも、時田さんを高揚させるその魅力とは?

東大で哲学を学んでいる女の子と、吉祥寺のラブホに来た。私は基本、男が好きだけど、彼女だけは別だ。一緒にいるとドキドキしてしまう。ラブホに一緒に泊まるのは4回目だけど、今日こそ何か起きそうな予感がする。

「ラブホをディズニーランドなんて言わない方が良いよ、ラブホって少し怪しげな感じがするからこそ、私は好き」

彼女の言うことよく分かる。ディズニーランドみたいな健全な場所と、ラブホを一緒にするなんて、いくら構造が似てても良くないような気がする。それはもちろん、ディズニーランドに申し訳ないからじゃない。ラブホに申し訳ないのだ。
だって、ラブホはディズニーなんて言ってしまうと、「ラブホに入る」ということ自体から背徳感が消えてしまう。それって、エロくないわ。
トコトコ堂々と入れるラブホよりも、秘密基地みたいにコソコソ入るラブホの方が、エロいじゃない?

ラブホテルに向かう前に井の頭公園を散歩していたら、同い年くらいの大学生の男二人組にナンパされた。最初にどこの大学か聞かれたので、得意げに「私たちは東大だよ」と言ったら、彼ら、すごく驚いていた。

「これから一緒に飲まない?俺の就職先決まったお祝いに」
「これから?一時間くらいなら良いよ」
「どうして?これから何かあるの?」
「うん、これから二人でラブホテルに行くのよ」

二人は少し言葉を探していたようだけど、手にペットボトルのお酒を持った方の男がなんだかすごく帰りたそうにしはじめて、「疲れたからもう帰ろうよ~」ともう片方の就職先が決まった男に言いはじめた。その人は私たちにごめんねと言い残して、二人はどこかに行ってしまった。

ナンパはあまり乗り気じゃなかったけど、だんだん帰りたそうな雰囲気を醸し出されたのには、少しだけ不本意だ。彼らに私たちはどう思われたのだろうか。ナンパ、近づいてみたら全然顔がタイプじゃなかったからやめておいたのか。東大女子だからやめておいたのか。女二人でラブホに行くなんていかがわしいな、と思ったからやめておいたのか。

できれば、最後の理由がいい。人にいかがわしいと思われることをするのって、背徳的でエロい。私は、彼らにいかがわしいと思われながらラブホテルに行くことに、我知らず興奮していることに気がついて、少し顔を赤くした。

吉祥寺の赤提灯で飲んだあと、またさらにお酒をコンビニで買ってから訪ねたのは、昭和の連れ込み宿「和歌水」だ。

井の頭線公園の隣で、紫のネオンを放つその建物は、まさにラブホテル。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
ラブホはわたしのワンダーランド

時田桜

ラブホに魅せられ、ラブホの虜になってしまった大学生の時田桜さん。時田さんが、そんな「ラブホの素敵が詰まった要素」をとにかく書き連ねるのが本連載。毎週1つラブホテルを訪れ、「素敵」をレビューします。「cakesクリエイターコンテスト20...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

SK7FISH ”その言葉に私は思わず、彼女のことを見た。明らかにさっきよりも、彼女、綺麗になってる。特に、彼女の大きな目に薄い水の膜が張っているのが鮮明に見えて、不思議だ。やっぱり、いる場所によって、人の美しさは変わっていくのかしら。” https://t.co/dkusS2umOZ 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

SK7FISH はー今回もめっちゃいい… 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

junichi225 何度も通り過ぎたことのある場所だったけど、中はこういう感じだったのか。知る人ぞ知る?ディープ吉祥寺。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

chikazukuze 吉祥寺にこんなラブホがあるんだ。行ってみよう。 約2ヶ月前 replyretweetfavorite