音楽業界の売上は豆腐業界と同じ?
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
僕、このバーを始めたのは23年前なのですが、もう少し「音楽より」のお店にしようと思っていたんですね。自然とミュージシャンや音楽関係者が集まってきて、僕が音楽イベントを企画したり、音楽レーベルをやったりしてみたいなって夢見ていたんです。
それで開店当初、ある音楽業界の重鎮の方に僕の話を聞いてもらっていたら、こんなことを言われました。
「林さん、日本の音楽業界の売り上げって豆腐業界と同じだって知ってますか? 街に音楽ってあふれているように思えますけど、そんなに音楽ソフトって売れているわけでもないんです。そんな大した市場じゃないのに、音楽業界で働きたいっていう人間が多すぎるんですね。でも、そんなに仕事はないから、みんながその仕事を取り合っている状況なんです」
その話を聞いたのは1998年だったので、今はもっと音楽業界の売り上げは落ちていると思いますが、なるほどですよね。確かに豆腐って、日本中の人がしょっちゅう口に入れているんです。日本中どこまで行っても、豆腐って売ってます。でも音楽ソフトって実は買わない人がほとんどなんです。
どうしても豆腐業界で働きたいって人は多くないけど、音楽業界で働きたいって人はすごく多いから、仕事は奪い合いになるし、安いギャラで良いから、タダでも良いからやらせてっていう人が出てくる。「音楽業界で働くのはオススメしない」って、その重鎮にアドバイスされたというわけです。
そういえば、それと同じような構図の職業がありまして、先日、ふみぐら社さんという、僕より年上の長くフリーライターをやってきた方と話していたら、「林さん、最近、フリーライターっていう職業がお洒落になってきたんです」って言うんです。
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