世話の焼ける巨人
人形道祖神はこの本で取り上げている他の神仏とは根本的な違いがあって、それは主に藁でできていることである。
実はこの藁でできているせいで、私は当初人形道祖神にあまり関心が持てなかった。いかにも古い日本の伝統的習俗という印象が拭えず、新奇さを好む自分の嗜好にマッチしなかったのと、何より藁人形そのものが地味で古臭く感じられた。
なので巡りはじめたときは、これをこの本のラインナップに採用するかどうか決めかねていた。私はべつに民俗学の研究がしたいわけではなく、造形的に面白いものが見たいだけだったからだ。
そんななか煙管ショウキさまを20年ぶりに作りなおす儀式を見物して、心揺さぶられてしまったのである。
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