いつか来る終わりの日まで腐らずに生きる

「夢組」の先に「叶え組」が、「叶え組」の先に「夢組」があるんじゃないか、と書いている今回。そういうのって読んでいて、なんだか救われる気がしますよね。役割は関係性にも影響されますから、利他と利己というだけでもないけれど、同じコインのウラとおもてなのかもしれません。さて、交換日記も連載第21回(毎週火曜日更新)です。どこから読んでもおもしろいけれど、相変わらず、恋バナができない2人。

サクちゃんへ

こんにちは。

京都はものすごい暑さです。
わたしは「夏」という概念は好きですが、暑さは大の苦手です。同様に「京都」という概念も好きですが、盆地特有の湿気も苦手。京都の夏はほんとにサウナです。
それでもここに住みたいと思える魅力がこの街にはあるんだよなあと、毎年うんざりしながらも惚れ直しています。

ー・-・-

前回のサクちゃんの日記、ものすごく刺さりました。
「したいけどできないこと、ほしいけど手に入らないものは、自分が怖れているから」
この代表的な例として、サクちゃんは「お金」と「親密な関係性」をあげていましたね。
自分にもすごく心当たりがあるなあ、と思いました。

サクちゃんの文章を読んで、思い出したことがあります。
それは、中学生からの自分の座右の銘が「命短し恋せよ乙女」だったことです。
この頃の自分の考え方として、「自分には失うものもないし、明日死ぬかもしれないのだから、好きなように生きればいい」というのが根本にありました。
この考え方は割と長くあり、20代半ばまで本気でそう思っていたように思います。

だいぶ刹那的だったんでしょうね。
悪い考え方ではないと思うのですが、ここ数年でようやく「ああ、わたしは積み上げることからずっと逃げていたんだな」ということに気づきました。

ー・-・-

「自分には失うものもないし、明日死ぬかもしれないのだから、好きなように生きればいい」

わたしがそう思うようになった大きな原因として、両親の仲が悪かったこと、実家が貧乏だったことが挙げられるのではと思います。貧乏だったことが、夫婦仲をより険悪にさせてもいました。

両親の関係もお金も、子供にとっては生活の基盤です。その部分が常に不安定だったので、わたしはいつも不安でした。しかも一人っ子だったので、その不安を共有する相手がいなかったのも、結構しんどかったです。

小学生だったある日、両親がもう何度目かわからない派手な喧嘩をして、家出を試みたことがあります。
近所に子供のいない老夫婦がいたのですが、彼らはわたしをとても可愛がってくれていたので、その足でおうちへ行って「このうちの養子にしてくれ」と頼み込みました。お手伝いもするし、勉強も頑張るからと。この人たちの自慢の娘になることができれば、養子にしてくれるのではと本気で思っていたんです。

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サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記

土門蘭 /桜林直子

東京でクッキー屋さんをしている「桜林直子(サクちゃん)」と、京都で小説家として文章を書く「土門蘭(蘭ちゃん)」は、生活も仕事も違うふたりの女性。この連載は、そんなふたりの交換日記です。ふたりが気が合うのは、彼女たちに世界の「そもそも」...もっと読む

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7gosen |サクちゃん蘭ちゃんのそもそも交換日記|土門蘭/桜林直子|cakes(ケイクス) 知らず知らずのうちに、積み上がってるものが見つかったらいいな https://t.co/4dkXWAqVzy 約2ヶ月前 replyretweetfavorite