いかにして「夏」を背負うか
もう2年前になるが、毎夏、横浜スタジアムで行われているTUBEのライブに出向いた。どんなジャンルでも、「ずっとやってる」「まだやってる」状態の人が好きなので、「夏」という、直接的とも抽象的とも思える概念を背負い続けている彼らの現在が気になったのである。ライブのオープニング演出って、そのバンドのテンションを知らせるものだが、会場に「アイスキャンディちょうだい!」という子供たちのアナウンスが流れると、自転車に乗ったアイスキャンディ売りの前田亘輝が自転車で登場し、「アイスキャンディのオジさんだよー。売り切れちゃったんだよー」と言いながら会場を笑わせた。
驚いた。TUBEを年に数回テレビで見る分には、いわゆる爽快感に満ちた「夏」を背負い続けている印象だったが、長年のファンを前にした彼らは、ライブ中に自分たちが「オジさん」であることをベースに、「水分補給!」と声をかけたり、「すぐに座るんだから」と茶々を入れたりしていた。つまり、本人たちもお客さんも含め、「かつて夏が似合った人たち」であることを認め合いながら、団結して、自分たちなりの「夏」を作り上げようとする連帯感があった。その無理しない姿勢が、心地よかったのである。
「天候」を「健康」と勘違い
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