TUBEの「夏」のバリエーション

かつては、TUBEといえば夏、そして夏といえばTUBEという時代も確実に存在したバンド・TUBEを取り上げます。現在も精力的に活動している彼らが今、「夏」にどう向き合っているのか、武田砂鉄さんが考察します。

いかにして「夏」を背負うか

もう2年前になるが、毎夏、横浜スタジアムで行われているTUBEのライブに出向いた。どんなジャンルでも、「ずっとやってる」「まだやってる」状態の人が好きなので、「夏」という、直接的とも抽象的とも思える概念を背負い続けている彼らの現在が気になったのである。ライブのオープニング演出って、そのバンドのテンションを知らせるものだが、会場に「アイスキャンディちょうだい!」という子供たちのアナウンスが流れると、自転車に乗ったアイスキャンディ売りの前田亘輝が自転車で登場し、「アイスキャンディのオジさんだよー。売り切れちゃったんだよー」と言いながら会場を笑わせた。

驚いた。TUBEを年に数回テレビで見る分には、いわゆる爽快感に満ちた「夏」を背負い続けている印象だったが、長年のファンを前にした彼らは、ライブ中に自分たちが「オジさん」であることをベースに、「水分補給!」と声をかけたり、「すぐに座るんだから」と茶々を入れたりしていた。つまり、本人たちもお客さんも含め、「かつて夏が似合った人たち」であることを認め合いながら、団結して、自分たちなりの「夏」を作り上げようとする連帯感があった。その無理しない姿勢が、心地よかったのである。

「天候」を「健康」と勘違い
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朝日新聞出版
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365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

oddcourage TUBEといえばこれ面白かった https://t.co/B9cG4sfUxQ 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

goodblue980 TUBEとの向き合い方を教えられた。TUBEののライブでどういうことが起こっているのかも。 2ヶ月前 replyretweetfavorite