cakes読者のみなさま、こんにちは。
ゴートゥー騒ぎからの、いきなりドンゴーエニウェアな週末ですね。家でじっと我慢の期間が長かったから、この束の間の休息を楽しみにしていた人、この機会を事業復活のきっかけととらえていた人、どれほど多かったことだろう。いつまで続くのか、この茶番的政策の数々。呑気な食連載ではありますが、この怒りは書いておきたい。
で、こうなるといつもどおり家で呑むしかないわけですが、暑さも相まって買い置きしたワインの減りがいつにも増して早い。飲み会してるわけじゃないのに、毎週ビンのゴミが大量です。ゴミ出しの日を逃さないよう、土曜日が近づくと若干緊張感を伴います。日々あれこれ飲むので、結果いろんなワインをご紹介できる、それだけが唯一プラスかな。
遅く起きた休みの日、長引く雨で買い物にも行きそびれちゃって、なんかあったっけと冷蔵庫をのぞき込むと、肉の部屋に豚こまのパックが1つ。今回は、そんなときに役立つレシピです。ドンゴーではありますが、ワインのつまみを豚こまでゴー、です。
通称「豚こま」は、正しくは豚の小間切れ肉。肩ロースやロース、バラなどの切り落としがランダムにミックスされていて、いろんな肉の味わいが混ざっているのが面白い。そういえば豚こまって、ほかの国にはあるのかな。日本特有な気がします。炒め物で使うことが多い豚こまですが、今回はぎゅっと握って、小さい団子にします。キッチンで活躍の機会を待っているスパイスがあれば、出番です。肉にもみ込んで、いい仕事をしてもらいましょう。
スパイスと塩、ワイン少々で軽く味付けした豚こまを小さく丸めたら、片栗粉をまぶし、じっくり揚げ焼きするだけ。油の量は1㎝ぐらい、団子が足湯に浸かってるイメージ。揚げている間は触らずに、表面が香ばしくがりっとするまで我慢。これがこの料理の、唯一にして最大のコツ。揚げ時間が中途半端だと、ただの焼いた肉団子になっちゃうので注意です。レシピどおりこんがりするまで揚げるとですね、外かりかり、中ふっくらに仕上がって、肉感しっかりのつまみおかずが完成。ひき肉で作る肉団子より脂分が少ない分、かむと肉感がぎゅっ。丸めるときもひき肉ほど手が脂でべとべとしないし、片付けもラク。最近は、なんだもう豚こま最強じゃん、なんでもっと早くに気が付かなかったのかな、と思ったりしています。
この料理は、以前ご紹介したポルトガル料理「豚肉のスパイスロースト」ロジョンイシュの簡易版をイメージしているので、あればぜひクミンを使って欲しい。レシピでは肉になじみのよいパウダーにしたけれど、シードでももちろん大丈夫。ほんの少し加えるだけで、人が感じる“おいしさ”の根源でもある香りが、ぐっと豊かになります(香りの話はnoteでもご紹介しています)。大航海時代、料理や菓子の香りを司るスパイスを巡り、各国で血みどろの戦いが繰り広げられたのも、納得です。クミンのほかにも、カレー粉やガラムマサラ、チリパウダー、ドライハーブ類でもいいですね。あるもので気軽に試してみてください。あと、スパイスは多すぎると苦みのもとになるので注意。少量で品よく香らせましょう。
では、パパッと作っていきましょう。
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「豚こまボールのスパイスフリット」
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