鈴木圭介×大橋裕之 音楽とポンコツな世田谷深夜前〜後編〜

『深夜ポンコツ』の刊行を記念して、7月8日に本屋B&Bで開催されたオンライントークイベント「音楽とポンコツな世田谷深夜前」の対談を特別公開します。ゲストは、アニメーション映画『音楽』が話題の漫画家・大橋裕之さん。ストレートにはカッコつけられないお二人の“深夜前のポンコツトーク”。 
後半では、視聴者の方からの質問に、お二人にお答えいただきました。

Q. 大橋さんが好きなフラカンの曲とその思い出は?

大橋裕之(以下、大橋) 「深夜高速」は一番よく聴いたので思い入れがあります。最初にフラカンを知ったのはみなさんがコーラスで参加してる斉藤和義さんの「あの高い場所へ」を聴いた時です。圭介さんの声がかっこ良くてすごいインパクトがありました。でも、フラカンの曲の中で一番思い出深いのは「元気ですか」です。高校を出てどうしたらいいかわからなくて、漫画を描いたりボクシングをしたりしていた頃に聴いていました。漫画でいうと、『遠浅の部屋』の頃です。

鈴木圭介(以下、鈴木) じゃあ『遠浅の部屋』の世界観に俺も何となく入ってたんだね。

大橋 あの時聴いていた曲ですから、そうですね。

圭介 本当? 嬉しい。俺、さっきも話したけど、大橋くんの漫画の中で『遠浅の部屋』が一番ぐっときたの。あれは私小説みたいなものでしょ? すごく個人的な、大橋君そのものが出てる。あと、随所に名古屋弁が出てきたり、登場するボクシングジムの場所がうちのメンバーの実家の近くだったり、お互いすごい距離が近い所にいたんだなってわかって、その分作品がぐっときた。吸っていた空気が近い所にあったんだなあと。

Q. 『深夜ポンコツ』には小さい頃の思い出やお父さんとのエピソードなどが語られていますが、圭介さんにとって記憶を辿る作業とは?

大橋 『深夜ポンコツ』の中で、「13歳のカセットテープ」は2回泣きそうになったうちのひとつです。もうひとつは「父の鼻歌」。自分が見ていた地方CM を思い出すくらい、当時の情景がすごくありありと浮かびました。

圭介 最初に思い出すことを課題として決めて、深夜に一点を見つめながらひたすら思い出すの。最初は全然思い出せないけど、何か片鱗というか小さい種を見つけたら、あとはちょっとずつポロポロと記憶が繋がってくる。『深夜ポンコツ』を書いていた時は、ずっとをこれをやっていました。「父の鼻歌」もそうやって書いたもののひとつで。父親が今年亡くなってしまったんだけど、父親との記憶ってそんなに無いんだよ。がっつり話した記憶もない。でもそんな中で、初めて反抗した時はいつだ、とか沢山釣り糸を垂らすみたいに一生懸命考えていると、忘れてたことが何となくひっかかってくる時があった。

大橋 カーテンの模様とかテレビのメーカーとか、すごく細かいところまではっきり思い出してますよね?

圭介 そうそう。そのことだけをずーっと考えて、思い出したら正解を母親に確かめて。合ってると問題が解けたみたいで、面白かった。

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深夜ポンコツ

鈴木圭介
左右社*
2020-05-30

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深夜ポンコツ

鈴木圭介

バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワ...もっと読む

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