大橋裕之(以下、大橋) 『深夜ポンコツ』を読んで2回泣きそうになりました。泣きそうっていうと、実際に泣いてないのかよって思われるかもしれません。でもうるうるはしました。
鈴木圭介(以下、圭介) うるうるの方が嬉しい(笑)。大橋君とはこれまで3回顔合わせたことがあるよね。下北沢のディククユニオンのイベントの時が最初で、その後たまたま一緒になった打ち上げで前野健太君に紹介してもらって。あと「共感百景」というイベントで一緒になった時。でもこうやってちゃんと話すのは初めてじゃない?
大橋 記憶力すごいですね。
圭介 声をかけてくれた人のことは嬉しいから覚えてるの。「共感百景」では芸人さんや色々な人が出ていて大喜利があって、俺は舞い上がっちゃってとにかく喋りまくったけど、大橋君は的確にストレートを打ち込む人だなと。無駄なことは一切言わないの。
大橋 あの時の大喜利のお題が確か「睡眠」で、「寝る前に永遠に目覚めなければいいのにと思う」という圭介さんの発言にすごい笑いました。まさかそんなネガティブなことを言う人とは思わなくて。
圭介 俺、朝が嫌いなんだよね。だから寝たままぽっくり逝けたらいいのにっていう自分のリアルな気持ちを素直に言ったの。でも、覚えてくれてるなんて嬉しいなあ。
コミュニケーションにおける自意識
圭介 『深夜ポンコツ』にも書いたんだけど、「おお久しぶり!」って言ったのに向こうが覚えてないとすごい恥ずかしい。あと、「おはよう」のひと言が言えない。家族とかメンバーとか、毎日のように会ってる人に挨拶って必要なのかな。関係をリセットしてよそよそしくする感じがあるんだよね。
大橋 僕も家族なら言わないことが多いですね。じゃあ、たまたまメンバーの人に街で会ったら?
圭介 気づいてないふりをする(笑)。ていうか俺はメンバーに挨拶する習慣とかないの。それだけじゃなくて、すごく良いことがあってもなるべく平熱を装って淡々とこなすようにしてる。そしたらそれがだんだん伝染して、他のメンバーもそんな感じになっちゃった。仲が悪いとか、何か問題があるわけじゃないんだよ。
大橋 バンドって長いことやってると特殊な関係なんですかね?
圭介 独特のルールみたいなものがあるね。バンドを続けるための心地いい独特の距離感なんだと思う。でも、バンドによるよ。例えば怒髪天とか楽屋でも地方とかでもすごい仲良いし、元気よく挨拶するし。俺は寝る前に朝を望まないタイプだから、そういうこともひっくるめて「おはよう」が苦手なんだと思う。大橋くんは苦手なコミュニケーションとかある?
大橋 僕は全てにおいて違和感があります。細かいことが気になるのでしんどいです。それでも心が壊れないのは、深くは思いつめないからのようで。ちょっとしたことを細かく思い出すのをずっとやっています。
圭介 大橋君は漫画を読むととっつきにくいイメージだけど、顔が広いよね。自分から声をかけてくれるし、実際はすごく社交的。
大橋 上京してからです。周りに顔の広い人が多くて。地元の友達は人間が変わったと思ったみたいですね。
圭介 それこそ、大橋君の漫画の『遠浅の部屋』に出てくる、一緒に車に乗っていた友達とか?
大橋 はい。あの友達は実在します。
圭介 『遠浅の部屋』は大橋君の作品の中でもすごく共感することが多くて。名古屋弁も沢山出てくるし。胸騒ぎがしちゃう(笑)。
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