他人を無意識に傷つける「レッテル貼り」

声の大きな人の悪意ある言葉に傷つき、流されない! 慶應社会人ビジネススクールの人気講師が言葉の暴力に立ち向かう方法を解説する『屁理屈に負けない! 悪意ある言葉から身を守る方法』(5/29発売)。16種類の屁理屈のテクニックと対処法が記された本書から、無意識の言葉の暴力である「レッテル貼り」について解説します

無意識に使ってしまう屁理屈

反論しにくい空気を作る屁理屈として最後にご紹介するのが「連座の誤謬(ごびゅう)」です。ここまでは「○○論証」をご紹介してきましたが、今回は「論証」でなく「誤謬」です。この違いは、簡単に言えば「論証」は意識的に使うことが多く、「誤謬」は無意識的に使ってしまうことも多い屁理屈だと思ってください。つまり「連座の誤謬」は、基本的に悪気はない場合が多いのです。しかし、悪気がないからといって屁理屈であることに変わりはありません。

私たちはこうした「悪気のない屁理屈」とも戦っていかなくてはならないのです。

では、連座の誤謬の具体例をご紹介するところから始めましょう。

テレビでは評論家や芸能人が、そしてSNSではインフルエンサーや一般人がさまざまな政治的発言をしています。その中に、安倍政権の政策や首相の発言のすべてに噛みつき「独裁者を許すな!」と主張する人がいます。また、政策を好意的に評価した人に対して「ネトウヨうるさい」とか「工作員キターw」と揶揄する人がいます。

これらが典型的な「連座の誤謬」です。現政権の施策が「すべて間違っている」とは言えないはずなのに、「しょせんアベの言うこと」と十把一絡げで決めつけています。

私は政治でも企業でもスポーツでも「長期政権は腐敗する(確率が高い)」と思っているので、最近の状況を見てもそろそろ首相交代の時期だと考えていますが、だからといって現政権を全面的に否定などしません。

本来はひとつひとつの政策・言動を個別に評価すべきところを、「独裁者の発言に聞く価値などない」と断じてしまうのは、いささか早計と言わざるを得ないからです。

十把一絡げにして「楽に叩く」

また、自分が嫌いな安倍政権の政策を評価した人を非難するのも同じです。「敵の仲間=敵」というロジックで、これまた十把一絡げで「お前も敵だ」と決めつけています。

もはや批判すること自体が目的化し、それに都合のいい情報に反応して周囲に拡散する。Twitterをはじめ、多くのSNSで日常的に目にする光景です。

もちろん、これは「アベ政治を許さない」派だけの問題ではありません。「朝鮮人は」「中国人は」とさまざまな個性と経験を持った人々を十把一絡げで「ディスる」のも、また「アニオタキモイ」「だから女/男は」といった主張も、すべて「連座の誤謬」です。

こうして見ると、連座の誤謬が「ヘイトスピーチの基本」であることに気づきます。

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屁理屈に負けない!言葉の暴力に立ち向かう

桑畑 幸博

SNSでの誹謗中傷、職場のパワハラ、セクハラ、家庭のモラハラ、ワイドショーの扇動的なコメント……現代社会に蔓延する声の大きな人の悪意ある言葉。しかし、そのほとんどは「聞く価値のない屁理屈」に過ぎない! 慶應社会人ビジネススクールの人気...もっと読む

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コメント

alexandre_ishii 無意識の言葉の暴力「レッテル貼り」とは? #SmartNews https://t.co/LnRcud2cyP 3ヶ月前 replyretweetfavorite

kawac "この手の人間と「ちゃんとした議論」を試みても、成立しない場合がほとんどです" 頷きすぎてヘッドバンギングなう - 3ヶ月前 replyretweetfavorite

granat_san 「この手の人間と「ちゃんとした議論」を試みても、成立しない場合がほとんどです」……全くその通り。 3ヶ月前 replyretweetfavorite