どうも。
少しずつですが、「舞台観劇」ができる日々が戻ってきました。
舞台製作に関わる全ての方々、観劇を愛する方々、、全ての方々が感染防止策を徹底することで、公演が再開出来たんだなあと、深く感動しています。
兎に角、「はいからさんが通った!(クララが立った!のテンション)」ことが本当に嬉しいです。はい。本当に!
……感動もひとしおに、それでは参りますゴー♪
(嬉しくってめっちゃ色んなエピソードを書き連ねちまいました)
ここにいるよ
タカラヅカを辞めようか……と思った日々(前話参照)も乗り越え、3か月間の「充電期」を経て、謎の「ウインク大量生産機」という隠しコマンド(隠れてはいない)も備えた私は、心を入れ替えて公演に臨んだ。
次の作品は、『太王四神記』。
(ここで、19話「巨匠との出会い~序~」から約1年。再び巨匠との様々な日々が繰り広げられるのだが、詳細については「巨匠との出会い~破~」として、またの機会にお届けすることにする)
太王四神記のフィナーレ、「朱雀のロケット」という場面に出演していた私は、休み期間中に習得したウィンク大量生産機を毎日フル稼働して踊っていた。
具体的に言えば、ロケットの曲中約3分間、ただひたすらにウインクしていた。
私のような研究科3年目の若造を、ずーっと追いかけて見てくれている人なんて、劇場の1%にも満たない。
2時間半の公演時間の中で、たまったま視界に入ってきた数秒間の印象を「ウインクしてくれた!」にしたかった。
なので、いつ何時みられても良いように、ずーっとウインクしながら踊っていた。 私は ここにいるよ(feat.青山テルマ)と、ずっとウインクしながら踊っていた。
こんなことが果たして何かに繋がるのか。不安に駆られる日もあったが、せめてこの公演期間中だけでもやってみようと、気を入れなおして挑んでいた。
すると……
ある日の朝、劇場に向かって歩いていた私に見知らぬ方が、
「アンタ、ラインダンスの時めっちゃウインクしてるやろ(関西弁)」
と、突然話しかけてきた。 内心ビビりながら、
「え……はい。」
と答えると、その方は、
「アンタ……おもろいわ(関西弁)」
と言い残し、その場を去っていった……。
(ちなみに、このエピソードは、自分がタカラヅカを卒業するとき、高翔組長さんに舞台上で読んでもらった)
突然話しかけられてビビったが(なんでか知らないけれど、私は日ごろからよく人に話しかけられることが多い……)、見知らぬ方からの印象を「ウインクしている子」に出来たことに手ごたえを感じた。
自分を知らなかった人に存在を知ってもらえた……そのことは私に少しだけ自信を与えてくれた。
そして……次の小劇場作品の香盤表が貼り出された日。
恐る恐る表を見に行くと、そこにはしっかりと自分の名前が記載されていた。
心の中で「ィヨッシャァァアアアア!!」と固くガッツポーズを決めた。
創聖の情報量の多いおじさん
少しだけ自信がついたのも束の間……研究科4年生になり、自分の存在証明をウインク以外にも取得したいと思っていたころ、バウホール公演『フィフティ・フィフティ』に出演することになった。
作・演出はダーイシ先生(呼んだことないけども)。
大劇場作品では下級生の見せ場はどうしてもフィナーレナンバーのロケットになりやすいが、小劇場作品だと、総人数が減るのでお芝居をしっかりと演じる機会が増える。
私はここで芝居のスタンスを確立させたいと思っていた。
この時いただいた役は、「山間の村の男」で、主要キャスト以外ほぼ全員がこの役だった。
アンサンブル芝居とでも言うのだろうか、主演のお二人が大都会から逃げ込んできた「村」の「状況を表す」ため、一つの状況につき、村人①~⑤人位でセリフをリレーして語りかける。
自分のセリフを言うタイミングを忘れると、次の村人にもドミノ倒しのように影響が出るので、集中して挑む、かなりの団体戦だ。
そして、同じ「村の男」でも個性も出さなくてはならない。
それに、山間の過疎化した村の住人なので、方言で話さなくてはならなかった。
自分以外の村人を演じる方々がどう表現するか悩まれている中、私は、ワクワクが止まらなかった。
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