どうも。 先日、ちょ——う久しぶりに映画館で映画を観ました。
新型コロナの影響ですっかりめっきり遠ざかっていた映画館。
しかも、昨今の動画配信サービスが行き届き過ぎていて、「もはやお家エンタメで事足りるなあ」とすら思ってしまっていた……のだが!!
まさかのジブリ4作品上映とか!行くに決まってんだろ!(スタッ)と、ここ最近で1番のフットワークの軽さを見せ、そっこーで劇場に向かいました。
1番見たかった『もののけ姫』をチョイスし、客席へ。
定番の、顔面ビデオカメラ人間がロボットダンスを踊り、サイレン人間に後ろから羽交い絞めされるやーつの直後、
「ド——ン……」という地鳴りのような重低音
……正直に申し上げて、ここで号泣しました……。
私、もののけ姫は1997年の公開日に観に行った記憶アリで、その後もビデオ(当時なもんで)を買って擦り切れるほど見たし、ビデオ持ってるのに金ローでも毎回見るし録画するし、リアルに100回位は見てると思うんですけど……
なのに!最初のド——ン!で、一瞬でもののけ姫の世界に引き込まれて、鳥肌がバグりました。マジで感動した……。
兎に角、兎に角よ、映画館のおおおお音響がすげえええええええ!
遠くで聞こえる鳥の声や、タタリ神の佐藤允さんの心底苦しい恨みの遺言とか、ヒイ様がアシタカ彦の運命を占っているときの後ろであんなに火花ぱちぱちしてたんだとか、後ろの方にいる猩々達の声が聞こえるとかとかとか……。
マジで臨場感がすごい、映画館の23年間の音響効果の進化がすごい。ほんと凄い!(語彙力)
あと……コロナの感染拡大防止策で、座席を前後左右空け無くてはならない事が、逆にめちゃくちゃ作品に没頭できる空間を生み出している。音も人に吸収される割合が減っていて、自分に届く音が増えている。
結論、映画を観るなら今が一番いいのかもしれない。
自分もしっかりと感染拡大防止の対応を取りながら、最高の音響設備の整った環境で大好きな作品を鑑賞することはこの世の極楽浄土だ……と心の底から思いました。
……とまぁ、感動して興奮して早口で捲し立てましたが……実はまだまだ語りたい……のですが…… 今回の本編が結構長くなると思うんでここら辺にしたいと思います(これでも言いたいこと結構割愛したのに1000文字軽く超えた。正直映画の感想だけでもいいとか思い始めている……いかんいかん)。
さて、こう見えてMJも20話を迎えました。なんだか信じられないっすがゴー♪
新トップスターの誕生
巨匠から抱えきれないほどの課題をもらい(前話参照)、初めての小劇場公演の千秋楽を迎え、久方ぶりの休日も泡沫……
春野寿美礼さんが卒業し、花組トップスターに真飛聖(まとぶ・せい)さんが就任され、新トップスターお披露目公演『愛と死のアラビア/Red Hot Sea』の集合日を迎えた。
自身にとって3人目のトップスターさんである真飛さん。
誰よりも美しく(どんなに至近距離で見てもきめ細やかすぎるお肌、艶やかな髪……)、気高く、なのに笑いの為なら平気で変顔できるような(打ち上げなどの乾杯の音頭はいつもとある方のモノマネだった)、気さくな方。
初めて就任の瞬間からご一緒できたことが本当に嬉しく、お披露目公演でも何らかの形で関われないかな……と期待に胸を震わせていた。
すると、その願いが届いたのか、ある日の芝居稽古で「皆殺し」の異名を持つ先生に突如、「真飛さん演じるトマスを不法侵入で止めようと思ったら力負けして引きずられたっぽく出てくる兵隊」の演出を付けていただいた。
しかも、「何者だー!」というセリフ付き。
元々頂いた台本には記載されていないセリフだったので、ものすごく嬉しかった事を今でも思い出す。
ただ……
そのセリフは、舞台袖の中で言って、そこから出てくるという、いわゆる「カゲセリフ」だった。
更には……マイクがあてがわれていなかった。
当時の私は、「もしかすると把握漏れがあるかもしれないので、セリフがあるのにマイクを付けてもらえていない場合は申請する」という事を知らなかった。
ただただ、「まだまだ自分が半人前だからマイクも付けてもらえないんだ」と本気で思っていて、なんなら「大劇場2500人全員に聞こえる程の声量を手に入れてみせる!」と謎のベクトルに向かって意気込んでいた(その昔、音楽学校時代に玄関掃除を担当していたのだが、朝の掃除中、学校の門で挨拶した声が、宝塚南口駅まで聞こえてきたという声量の持ち主ではあった)。
そして舞台稽古当日、私は袖中でウヴォーギン(ハンター×ハンター)もびっくりの大きな声で「ぬぁぬぃむぉおぬぉどぅあ——!」と、叫んだ。
が……悲しいかな、客席には1デシベルも届いてはいなかった。
「皆殺し」先生に「もっと声出せー!」とマイク越しに言われ、(いや、これが今の私に出せる最大デシベルなんです……)と意気消沈した。
すると……
真飛さんが「……もしかしてマイク持っていないの!?」と若干引いた感じで聞きにきてくださった。
私は(うわぁ、お話ししてる……)と心ここにあらず気味ではあったが、「持っていません」と答えた。
それを聞いた真飛さんは、ご自身の衣装に付けているマイク(ヘッドセットではなくピンマイクだった)をスッと取り、私に向け、「これに向かって言いな」と差し出してくださった。
そして、音響さんに「天真のセリフを私のマイクで拾うので早めにスイッチ上げておいて下さい」と、すかさず伝え、一瞬でマイク越しにセリフを言う環境を作ってくださった。
本当にあっという間の出来事にしっかりと感謝の気持ちを伝えることもできず、お手数をおかけしてしまったことに申し訳ない気持ちでいっぱいで、ただただ立ち尽す。
そんな私に、「これからはちゃんと申請するんだよ」と、真飛さんは優しく仰った。 この時の感謝してもしきれないという思いは、今も忘れない。
ただ、感謝の気持ちと同じくらい未だに脳裏をよぎるのは、あの時、袖中で信じられないくらいの雄たけびを上げた私の真隣に立っていた真飛さんの鼓膜は無事であったのかという一抹の不安だ……。
人生の岐路~小劇場選抜落ち~
真飛さんのマイクに向かってセリフを言い、舞台に出る、という贅沢な役目も頂き、袖中のカゲセリフだとしても立派なセリフをあてがわれたと思い……。
研究科4年目、少しずつではあるが舞台を作っていくにあたり「団体種目」から「個人種目」への挑戦が始まってきたのではないか……と、少し進歩を感じていた中、『愛と死のアラビア』の新人公演の香盤が発表された。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。