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こんにちは、きのコです。
ポリアモリーとしての私を取材したジャーナリストの伊藤詩織さんが、「伊藤詩織はポリアモリーだから、レイプ被害は嘘」などと根も葉もないデマによる誹謗中傷を受けていることは、この連載でも何度か取り上げてきました。
詩織さんが漫画家のはすみとしこさんを誹謗中傷による名誉毀損で提訴したことが話題になると共に、このようなバッシングがまた増えています。リアリティ番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが誹謗中傷を受けて自殺した件もあって、世間では「誹謗中傷に対して泣き寝入りせず声を上げよう!」という機運が高まっていますが、このような攻撃をぶつけてくる人は今も跡を絶ちません。
今回は、はすみさんのように誹謗中傷を繰り返す人々の心理とはどういったものなのか、それに対して私たちはどうすればいいのか、改めて考えてみたいと思います。
誹謗中傷をやめられない人たちに共通していること
「劣等感はあるが罪悪感はない…ネットで誹謗中傷を繰り返す人々の心理」によれば、誹謗中傷をやめられない人々には、ナルシシズム(自己愛性)、マキャベリズム(他者操作性)、サイコパス(反社会性)という3つの要素からなるパーソナリティの特徴があるそうです。また、神経質な傾向、社交スキルやコミュニケーションスキルの乏しさなども共通しているといいます。
解決のためには性格を変えるしかない。しかし、性格を変えることは難しい。性格(パーソナリティ)とは、その定義からして、人間の感情、思考、行動の持続的なパターンのことを指すからだ。
とはいえ、変えることは不可能ではない。文献を見ても、サイバーいじめの「治療」は比較的簡単だと述べる専門家もいる。一方、サイコパスの治療は不可能と述べる専門家もいる。そして、当人が治療を受ける気になるかどうかという別の問題もある。罪悪感を持たない人々、他人を貶めることに快感を抱いている人々が、その「愉しみ」を簡単に手放すだろうか。
そして、伊藤詩織さんを叩く”罪悪感がない”人たちのなかには、今回の提訴を「表現の自由に対する圧力」だと騒ぐ人もいます。誹謗中傷をする人が「表現の自由」を振りかざして自分を正当化することはよくあります。
表現の自由はもちろん尊重されるべき権利ですが、これは無制限に保障されるようなものではありません。
誹謗中傷は、れっきとした「人権侵害」
そもそも表現の自由とは、「検閲や規制をされない権利」のことであり、外部に向かって思想や意見などを表明する自由を意味します。ただし、公共の福祉や他者の人権を侵害するような表現は認められていません。表現の自由は、誹謗中傷の自由や差別の自由ではないのです。
民法で名誉毀損、プライバシー侵害、侮辱が不法行為とされ、刑法に名誉毀損罪、侮辱罪があることからも分かるとおり、誹謗中傷や脅迫は守られるべき「表現」ではなく、れっきとした「人権侵害」にあたります。人権は表現の自由よりも重いのです。
日本では教育機関で人権について学ぶ機会が少ないために、このように表現の自由が拡大解釈され、他人を誹謗中傷する時の”錦の御旗”として利用されてしまうのではないか、と思っています。
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