今回は連載1周年ということで、「いまさら他人に聞けない資産運用の初歩の初歩」について、みなさまの疑問にお答えしたいと思います。
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——絶対に損はしたくないのですが、それでも投資で儲ける方法はあるのでしょうか?
橘 そんなウマい話は、それこそ絶対にありません。絶対に損をせず確実に儲ける投資法があるのなら、それを発見した幸運な投資家はいずれ地球上の富のすべてを独占することになるでしょう。そのような投資家がいないことが、逆説的に、投資必勝法の不可能性を証明しています。
——そうはいっても、投資で大金持ちになったひとはいます。運だけで成功できるはずはないので、やはり「天才」はいるのではないでしょうか。
橘 私は「投資の天才」がいることを否定しませんが、その人数がきわめて少ないことは間違いないでしょう(世界に数百人とか)。金融の世界になんの関係もないひとが「天才」に出会う確率はきわめて小さく、そんな幸運を期待するなら、隕石が自分の頭に落ちてくることを心配したほうがいいでしょう。
——だったらなぜ、「私は投資の天才だ」とか、「未来を予言した」とか自慢するひとがたくさんいるのですか?
橘 株は上がるか下がるかの2つしかないのですから、適当なことを言っていても平均すれば5割の確率で当たるはずです。だったら、「未来を予言した」ひとがいないほうが不思議です。ただ、株価予想を統計学的にあり得ないほど連続して当てる“専門家”はいません。雑誌などによく株の予想が掲載されますが、その後の検証をしないのは、けっきょく損をしているからです。
「専門家」が間違える投資の世界!!
——「投資の天才」はいないとしても、たくさんの“専門家”のなかにはマシなひともいるのではないですか?