「童貞なんですけど」という相談
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
僕、自分のnoteで質問を受けつけているのですが、「童貞なんですけど、どう思いますか」っていう感じの質問が多いんですね。これ、どういうわけか「処女なんですけど、どう思いますか」っていう質問は今まで一回もないんです。
女性って、匿名だと結構きわどい質問をしてくれる傾向があるのですが、なぜか処女に関してはタブーなのでしょうか。あるいは、「林に聞いてもなあ」って感じなのでしょうか。とにかく、「童貞ですが」っていうのが多いんです。男性は開き直ってネタにしてしまうっていうパターンも多いのかもしれません。
さて、これに関しては、常々思っていることがあります。中学の時、ある国語の先生を尊敬していて、その先生が勧める本を片っ端から読んでみたり、僕が書いた自意識過剰な文章を読んでもらったりしていたのですが、その先生がある日授業中に「下戸は人生の半分以上を損している」と言ったことがありました。その先生、とにかく酒が大好きだったみたいで、酒と文学の関係を語って、そして生徒たちに「酒を飲め。大人になったら酒に溺れろ」というようなことを言って、「下戸は人生の半分以上を損している」って言ったんです。
その瞬間、直感的に「それは違う」と思いました。例えば、アラブ人で、一生お酒を飲まない人ってたくさんいると思うのですが、彼らが僕たちよりも「むなしい人生」をおくっているとは思えないですよね。あるいは体質的にアルコールを受け付けない人が、僕たちよりも人生が「損している」とは思えないです。
また、こういう言葉も常々疑問でして。例えば、僕が「トマトって美味しいと感じたことないんですよね」と言ったとき、「林、それはおまえが、本当に美味しいトマトを食べたことがないからだよ。美味しいトマトは本当に美味しいよ」と言う人がいるんですね。
「世の中には、君が経験していない素晴らしいものがもっともっとたくさんあるんだよ。私はそれをたくさん経験したけど、君はまだまだ知らないだけなんだよ。それはすごく損しているよ」と言う人です。
そういう人って「海外は経験した方が良いよ」とか「結婚は一度は経験した方が良いよ」とか「子供を持つことって……」って感じで、「君は知らない世界があるんだよ。それは経験した方が良いよ」っていうのをとにかく、押しつけてくるんです。