鈴木圭介
効くCMの巻
バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワーカンパニーズ鈴木圭介の自意識爆発エッセイ集『深夜ポンコツ』から傑作コラムを特別公開!「たとえ今が冬だったとしても、季節は巡る。春はまた来るのだ!」
いつの間にか、CMも過激になったもんだなぁと、ぼんやり思っている。お盆明けのツアー中、仙台のホテルで。わかりやすく過激じゃなく、やんわりと過激になっているような気がする。
ドバ〜ッと過激なら、見ているこっちも、え〜っ!と声を出したり、のけぞったりできるんだが、何気にふわっと過激だったりするからその時は気が付かない。その代わり、あとからボディブローのようにジワジワ効いてくる。
例えば、夏になると毎年必ず出てくる脇の汗を抑えるスプレーや液体のCMがある。あれ、昔はあんなに種類がなかった。あっても8×4とban16の2種類ぐらいだったと思う。今は、もう覚えられないぐらい種類があるし、CMもかなり多い。
それだけ需要があるってことなんだろうけど、若い女の子が脇にスプレーしている映像が普通になってるってすごくない?可愛い顔したお姉ちゃんが脇をウェットティッシュで拭き取る絵。冷静に考えたら、かなりドキドキ映像だと思うけど(俺だけ?)。そもそも、一昔前は、女の子は脇に汗なんてかかないと本気で思ってたし、女の子が脇を見せるって滅多になかった。今はもう、当たり前のように、みんなCMで見せてくれる。あの手のCMは効くよなぁ、と老人のようにぼんやりと思いふけっている。仙台の三井アーバンホテルで。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。
30514
false
絶賛発売中!フラワーカンパニーズ鈴木圭介の『深夜ポンコツ』
この連載について
鈴木圭介
バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワ...もっと読む
著者プロフィール
ロックバンド、フラワーカンパニーズのボーカル。1969年4月30日札幌生まれ、名古屋育ち。1989年、フラワーカンパニーズを結成。全国を機材車で駆け巡り、年間100本近いライブ活動を展開。楽曲「深夜高速」が多数のミュージシャンにカヴァーされ話題に。著書に『三十代の爆走』、『イッツオンリーロッキュンロール―鈴木圭介全歌詞集』、フラワーカンパニーズ『消えぞこない 〜メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし! のバンドが結成26年で日本武道館ワンマンライブにたどりつく話〜』がある。