下半身がクルクル回りそうなソフビ人形風多し
国東仁王の章でも紹介した石造仁王は、九州に集中的に存在し、なかでも鹿児島県にもっとも多く分布している。 国東半島が仁王の里として広く知られる一方で、鹿児島は県全土に分散しているせいか石造仁王の宝庫であることがあまり知られていない。
全国の石造仁王像の約1/3が集中
研究書もほとんどなかったが、2018年に石造仁王の研究家である髙野幸司氏が『石造仁王像』を出版し、ようやく鹿児島県の石造仁王について、多くのことを知ることができるようになった。
髙野氏によれば、島嶼部を除く鹿児島県には178対の仁王と対の欠けた85個体がありその数は合わせて441個体に及ぶという。これは国東半島の306 個体を大きく上回り、全国の石造仁王像の32%を占める。
国東の20%、宮崎11%、熊本10%と合わせると、全国の76%が九州に集中していることになるそうだ。このなかには鎌倉時代や室町時代に作られたとされる古いものもあるが、銘の残っているほとんどのものは江戸時代前期の作。とりわけ寛文から享保年間をピークに嘉永年間まで制作が続いたとのこと。
パーツ別に作られたものや
破損したものが多い
鹿児島の石造仁王には、国東とはまた違った個性がある。髙野氏も著書のなかで多くの点を挙げているが、それは後に触れるとして、素人の私にもわかりやすい大きな特徴は以下のふたつだ。