みんなさ、幸せになってくれたほうが楽なんだよね

幡野広志さんの新刊『なんで僕に聞くんだろう。』の発売を記念しておこなったトークショーの模様を7回にわたってお届けする連載、いよいよ最終回です。書籍のもととなった幡野さんのcakes連載を担当している大熊信(cakes編集長)が、幡野さんが紡いできた言葉を紹介しつつ、それにどういう意図や意味があったのかを聞いていきます。

みんなさ、幸せになってくれたほうが楽なんだよね

大熊信(以下、大熊) では、次の言葉にいきます。そろそろ終わりの時間に近づいてきているので、「ひとが生きる理由」という根源的なことを書いてくださった回のなかから、幡野さんの言葉を紹介します。
(編集部注:スライドの右下は連載時の記事タイトルです)

大熊 この相談を送ってきたひとは41歳の女性で、交際している男性が20歳年下だから、相手の幸せを考えたら身を引いたほうがいいんでしょうか?と悩んでいて。この幡野さんの言葉は、SNSでも多くのひとが取り上げていました。

幡野広志 (以下、幡野) 息子からすればお父さんとお母さんが自分を幸せにしてくれる存在で、妻からすればぼくと息子が自分を幸せにしてくれる存在という、総合的なものです。

大熊 この言葉の次に続く言葉もすごくよくて、それがこれです。

幡野 すごい、いいひとじゃないですか。

会場 (笑)

幡野 みんなさ、幸せになってくれたほうが楽なんだよね。不幸なひとが増えちゃうと呪いの言葉とかいじめとか虐待とかDVが発生しちゃうんだけど、全員幸せになったらそんなこと発生しないんですよ。だからどんどんみんな幸せになってほしいんですよね。

大熊 まさに最初のほうで話した呪いの言葉の話と一緒で、それがうまく回れば個人の幸せが世界の幸せになりますよね。すごく視野の広い幸せ論みたいな。そんなに難しくないと思うんだけどな。

幡野 そうね。ただここで問題なのは、大企業への就職とか結婚が幸せだって価値観を子どものころから押し付けられることで、それはまちがいだよね。そこ目指そうとすると、幸せから外れちゃうんだよね。

大熊 そうですね。

幡野 自分の幸せを見つけて、その幸せを享受できればいい。それこそ多様性の社会だよ。やっぱひとの目を気にしはじめちゃうと得られないよね、幸せは。

大熊 ぼくがすごくいいなって思っているのが、幡野さん、この言葉の前に、「1年後はまた答えは変わっているかもしれません」って書いてるんですね。

幡野 あ、そうでしたか。なるほどね。

大熊 つまりこれだけが正解じゃないよっていう。まだこれからも考え続けていかなきゃいけないんだよっていうことをちゃんと明示している。

幡野 結局10年経ったら社会情勢変わるでしょ。だから絶対的なものにされちゃうとちょっとね。価値観や常識って時代で変わっていくからね。これは毎回思いますね。

明日死ぬかもしれないなんて思って生きないほうがいい

大熊 次の言葉が最後です。これ、書籍には入ってない言葉なんですが、せっかくなのでイベントに来ていただいてる皆さんに紹介したいと思って。

幡野 普通逆のこと言うよね。明日死ぬと思って一生懸命生きようって。

大熊 そうです(笑)。

幡野 それねー、やんないって。ガンになったってやんないんだから、健康だったらもっとできるわけないじゃん。

会場 (笑)。

幡野 ジョブズの名言でしょ? 似たような立場になって思ったけど、そんなの無理よ。

大熊 似たような立場(笑)。

幡野 そんな、明日死ぬかもしれないなんて思って生きないほうがいいよね。別にそんなに無理しなくてもね。

大熊 幡野さんのこの言葉はすごく自由になる言葉だなと思って、けっこう感銘を受けました。

幡野 病気になってからすげえ言われたの。「明日死ぬと思って一生懸命生きなよ」って、健康なやつに。バカじゃねえのと思いながら聞いてたんだけど。結局、明日も生きてると思うから今日も平和で生きていられるのであって、本当に明日死ぬと思ったらさ、パニックじゃん。だから明日も生きてるって思ったほうがいいよね。

大熊 幡野さんがよくされている安楽死の議論もそこにつながる話ですよね。別に無理して生きなくていいって思えるからこそ生きられるという逆説的な考えかたですね。

幡野 無理してがんばっちゃうひと多いんですけどね。悩み相談送ってくるかた、そういうひと多いですよね。自分で自分を苦しめちゃっているひとというか。修行僧みたいなひと。

大熊 そんな修行しなくてもいいのにって思いますよね。相談に答えている幡野さんがこんな感じなので……(笑)。

幡野 そうですね、ぼく、がんばんないし、悩まないし。ちょっと申し訳ないなと思いながらやっています。

会場 (笑)

大熊 さて、あっという間に終わりの時間が近づいてきました。これまで紹介してきた幡野さんの言葉は、この本『なんでぼくに聞くんだろう。』に収録されています。ぜひじっくり読んでいただけたらと思います。本日はどうもありがとうございました。

幡野 ありがとうございました。

(終わり)


【今回ご紹介した幡野さんの連載記事はこちら】
人が生きる理由
 
体の健康よりも心の健康が大事

この連載について

初回を読む
幡野さんはどんな気持ちで相談に答えてるんだろう

幡野広志 /大熊信

cakesの人気連載「幡野広志の、なんでぼくに聞くんだろう。」が書籍化し、ベストセラーとなっています(書籍タイトルは『なんで僕に聞くんだろう。』)。刊行直後、連載の担当編集者である大熊信(cakes編集長)と幡野さんがトークショーをお...もっと読む

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コメント

zSkaROIwesnE3QS 「明日だって生きるんだから、だからこそ無理してがんばって生きなくてもいいじゃないですか。」か。なるほどなあ…。 俺らジョブズみたいには生きられないもんな。名言だからっていちいち鵜呑みにしなくていいよな。 https://t.co/YvtxtUePrq 約5時間前 replyretweetfavorite

irasally 「明日死ぬと思って一生懸命生きよう」じゃなく「明日も生きるんだから無理してがんばって生きなくて良い」か。肩の力がうまく抜けそうな言葉。 https://t.co/3QsY5cslyb 約10時間前 replyretweetfavorite

srishrc 「無理してがんばっちゃうひと多いんですけどね。悩み相談送ってくるかた、そういうひと多いですよね。自分で自分を苦しめちゃっているひとというか。修行僧みたいなひと」 https://t.co/AnTmsah5rF 約22時間前 replyretweetfavorite

73mami 『明日も生きてると思うから今日も平和で生きていられる』 約23時間前 replyretweetfavorite