日本にいたらちょっと面倒なことになっていたかも
大熊信(以下、大熊) 次がですね、cakes史上No. 1のPV数を記録した「相談者は読まないようがいい回答」っていうタイトルの記事の中で、幡野さんが言った言葉です。
(編集部注:スライドの右下は連載時の記事タイトルです)
幡野広志 (以下、幡野) これ反響大きかったですね。
大熊 もうむちゃくちゃな反響がありましたよね。
幡野 この記事が公開された時ね、ぼく、香港にいたんですよ。
大熊 あ、大規模なデモがおこなわれていた時の。
幡野 そうそう。香港にいて、ちょうどwi-fiが切れていたからよかったけど、日本にいたらちょっと面倒なことになっていたかも。メッセージやメールがすごくいっぱい来てました。
大熊 この相談も前回と同じでまさしく毒親問題。
幡野 そうですね。高2の娘さんと中1の息子さんがいて、息子さんのほうは不登校で学校行きたくないって言ってて、娘さんのほうは高校の最寄り駅につくたびに嘔吐して最終的に中退して。それでもこのお母さんは自分が毒親ってことにまったく気づかないんだなって思って。
大熊 これまでの連載で幡野さんは毒親を容赦なくボコボコにしてるのに、このひと、連載読んでないのかなっていうくらいに、幡野さんならどう感じるか教えてほしいみたいなこと書いてましたよね。
幡野 たぶん読んでいるんだと思いますよ。読んでいるんだけど自分に対してだけは疑いがないんですよね。ひとのことは許せないけど自分のことは許して、みたいなひとはけっこういるので、そのパターンですよね。
大熊 このひとも文末に健康に気をつけてくださいって書いてありましたよね。
幡野 書いてあった、書いてあった(笑)。
大熊 何かうしろめたさがあるんでしょうね。
幡野 その言葉を息子に言ってやれと思ったもん。さすがに言わんかったけど。
会場 (笑)
幡野 記事で充分ボコボコにしちゃった感はあるんだけど、本当はもっと辛辣なことも言えたんですよ。だけど、お母さんが崩れちゃうとさらに子どもたちが辛いから、それだとちょっといかんなと思って。
大熊 この記事も炎上しないかなという不安はありました。でも、批判みたいなのはなかったですよね。
幡野 全然なかったですね。あんだけ反響あったらそれなりに批判が出てきてもおかしくないのに、この回に関しては全然なかったですね。
大熊 そうですよね。
幡野 不登校の子どもがいるかたはやっぱり耳が痛い話ではあったみたいで、お母さんを擁護する声はけっこうありました。それはそれでまちがっているなとぼくは思った。結局あんたたち自分のことだけだよね、子どものこと気にかけてないよねって言おうかと思ったけど、そこでやりあってもしょうがないから。
大熊 幡野さんの回答って、一貫して子どもを救う立場に立ってるんですよ。
幡野 親と子どもだったら、まちがいなく子どもを取りますね。たとえば沈没する船に子どもとお母さんがいて、どっちかひとりしか助けられないってなったら子ども助けるでしょ。
大熊 そうですね。
幡野 どっちにもいい顔をするっていうのはできない。嫁姑問題を解決しない旦那みたいなものだよね。お母さんにも妻にもいい顔しているからどっちも苦しいわけでしょ? 明確にどっちかを助けるって意志表示しちゃったらさ、そんなに大変な問題じゃないと思う。
大熊 最近のweb記事って、それがなかなかできないんですよ。
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