天皇とイワノヒメ皇后の大げんか①
仁徳二十二年正月、天皇は皇后に言いました。
「ヤタ(八田皇女)を召し入れて、妃としようと思う」
皇后は、聞き入れませんでした。
そこで、天皇は歌を詠んで、皇后に頼みました。
貴人(うまひと)の 立(た)つる言立(ことだて)
儲弦(うさゆづる) 絶間(たゆま)継(つ)がむに 並(なら)べてもがも
(※訳:
貴人の約束事では
弓の弦が切れた時の為に
予備の弦を準備しておくというが
そのようにあなたがいない時の為に
ヤタノヒメミコを並べておきたい)
皇后は、答歌を詠みました。
衣(ころも)こそ 二重(ふたへ)も良(よ)き
さ夜床(よどこ)を 並(なら)べむ君(きみ)は 畏(かしこ)きろかも
(※訳:
衣なら重ねて着てもいいでしょうが
夜の床を並べようという君は
おそろしいお方ですね)
天皇は、また歌を詠みました。
おしてる※1 難波(なには)の崎(さき)の 並(なら)び浜(はま)
並べむとこそ その子は有(あ)りけめ
(※訳:
難波の崎の並び浜のように
並べるために その子は生きてきただろうに)
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