「フラれたことありますか?」と、よく訊かれる。「まあ、どうせ無いですよね…」と、ため息まじりに問いかけられていることが多いような気がするのだけど、実は一度だけ、フラれたことがある。
と言っても、恋愛論を売りにしてのし上がってきたくらいなので、告白をしてフラれたという経験はない。「この人と付き合いたい!」と思ったら両想いになって彼女に選ばれるところまでは成功させてきた。
だから、付き合うところまでなら基本的にはイケる。なんだけど、うまく付き合うことができなくてフラれてしまったことが一度だけある。
そして、その唯一のフラれてしまった恋のことを考えた時に、私はこんな風に思う。
今ならうまくやれるのに、とは少しも思わないと!!
あれから何年もの月日が経ち、恋愛の経験値は着実に積んできたけど。複雑な恋をいくつも成就させ、もはや他人の恋まで数えきれないほどにサポートしては奇跡を起こして感謝されてきたけど。
だけど、仮に時間を巻き戻すことができて、今の記憶を持ったままで出会いからやり直せたとしても、あの時の彼との恋は、何度でもダメになる確信がある。
絶対に無理、どうあがいてもうまくいかない。 今世では、私とあの彼は愛し合えないさだめにある!!!と、私は胸を張って言い切れる。
恋愛における私の弱点
実は私には、恋愛の土俵に立つにあたって、1つの大きな弱点がある。唯一のうまくいかなかった恋は、まさにそのことが致命傷となり、破局を迎えた。
私は恋愛が得意で、相手が誰であれ虎視眈々と努力を続けていけば恋人に選ばれることは可能だと思っているからこそ辿りついている境地なのだけど、実は恋愛には、めでたく両想いになり晴れて恋人になれたその先に、さっそく立ちはだかる壁がある。
それは"恋人としての相性の壁"だ。
そして私には、そこの相性が悪すぎるがゆえに、関係を育むことが難しい男性のタイプが実は存在する。
それが奥手男子だ。
奥手男子とだけは、どんなに惚れ合っていても、恋人としてうまくやっていくことが難しい。 なぜかといえば、私自身がめちゃくちゃシャイで奥手で、自分からは絶対に手を出すことができない女だから。 つまり、N極同士みたいになってしまう。うまく近づけなくて、ぜんぜん交われない。奥手な男×奥手な女が付き合った先にあるもの、それは地獄のようなギクシャクなのだ。
きっかけは「きちんと順を追う恋愛」への挑戦
処女を卒業して10年ほどが経ったある日、ふと、こんな風に思ったことがあった。
「今までたくさんの恋をしてきたけど、そういえば、まともに愛や恋を知ってからは、きちんと順を追う恋愛っていうのをやったことがないなぁ……」と。
きちんと順を追う恋愛とは、片思いからの両想いとなり告白をして付き合い、晴れて彼氏彼女となってから初めて手を繋ぎ、照れまくりながらキスをして、そしてついにセックスをする、という恋愛のことだ。
そういう形式の恋愛自体はしたことがないわけではなかったが、まともに順を追っていた頃の私(中学生くらい)は、圧倒的に知的好奇心に突き動かされて恋愛に取り組んでいて「今思えば、あれって別に相手のことを好きじゃなかったよなぁ。ぜんぜん惚れてなかったよなぁ」と思うような気持ちだった。たとえると、鼻毛が見えたら絶望して激萎えしてしまうような、その程度の気持ちだった。ぜんぜん愛していなかった。
だけど、そこから10年ほどかけて、いくつもの恋を経験していく中で、知的好奇心ではない本物の恋愛感情(「恋は病」や「恋は盲目」級の恋)を知った私は「改めて、順を追った恋愛がしてみたい。今ならもっと楽しめるし、堪能できる気がする!!」と思った。
だって、それって最高の前戯。片思いから両想いになるまでの過程もそうだし、そうしてやっと手を繋いで、照れまくりながらキスをするって、そんなの超前戯!その後の、満を持してのセックスなんて、最強に楽しそう!!!そう思ったのだ。
思春期以降、セックスに慣れてから取り組んだほとんどの恋は、付き合う前に挿入をしていたり、ファーストキスの時点ではさほど惚れていなかったりと、不純異性交遊要素の強いものだった。そのこと自体は別に問題視していなかったし、どの恋も良い思い出になったのだけど、性的にも精神的にもだいぶ大人になったことで「逆に今なら、順を追うことの快感がありそう!」と、その前戯感に強く惹かれたのだった。
まずは片思いができる相手探し
そうしてその年の私は、順を追うことをテーマに1つの恋に取り組んだ。
片思いからの両想いからの告白、というステップを踏むことが大事だったから、まずは片思いができる相手を探すことから始まった。これに関してはまた今度詳しく話そうと思うのだけど、非常にロジカルなやり方で探し、そして見事に見つけ出した。私はその彼と自分が、出会うことから操作をして、無事に出会い、無事に惚れることに成功し、そこからは両想いを目指して努力をしまくった。
そして3ヶ月の友人期間を経て、人生初めての告白をして、めでたく順を追って彼女になることに成功したのだ。あの恋のことは今思い出しても胸がキュッとなるくらいに、そこまではすごく楽しかったし、ただただ甘酸っぱい日々だった。