「文章」は「料理」に例えると分かりやすい。例えば料理を作るとき、料理のプロが作るような超一流の料理を、一般の人がいきなり作ることは不可能だ。文章においても、夏目漱石や川端康成のような名文をいきなり書くことは難しい。
では、ビジネス上の文章を書く力はどのように磨けばいいのか。
実は、学校では誰も教えてくれないが、「書く力」を磨くための原則がある。それは、「構造を意識する」「相手を意識する」「語感を意識する」の3つだ。この3原則さえ押さえれば、「書く力」を飛躍的に伸ばすことができる。
文章と料理の共通点とは
まずはもっとも大切な「文章の構造」について説明しよう。
これは「料理の手順」のようなもの。食材や調味料の細かな分量はいったん忘れよう。大事なことは、大まかな手順だ。何を何品、どのように作るか。どういう順番や組み合わせで食卓に出すのか。それを決めずに料理を始めたら大変なことになる。大事なのは「楽しみながら食欲を満たす」という目的だ。そのために「全体の構造をまず考える」ことが必須になる。
「おかずがすべて肉の揚げ物」「最初にデザートを出して次に白いご飯」。それはおかしいと、ほとんどの大人が半ば常識として知っている。だから、事前にざっくりでも大枠の構成を考えるのだ。
その上で、肉を焼き、野菜を炒め、ご飯やスープと一緒に並べる。これがまっとうな手順のはずだ。
文章も同じこと。日本人はついつい細かなテクニックにこだわりがちだが、まずは大枠でもいいので全体像をつかむべきなのだ。それがすなわち「文章の構造」だ。それは「料理の常識」のように、身に付けることができる。
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