どうも。 緊急事態宣言も解除になり、先日久方ぶりに電車に乗りました。実に72日ぶりでした。
……72日て!!
「うお~!PASMOじゃん~久しぶりぃ~!」ってなったもん。
こちとらアマテラスライフでしたので(天照大御神の如く自宅に籠っておりましたので)、 街行く人々みんなに「久しぶり~!」って言いたくなったもん。
こうして、少しずつ普通の生活に戻れる様、日々尽力し続けてくださっている医療従事者の方々に心から感謝し、今日も精一杯「こう見えて元タカラジェンヌです」を執筆したいと思います。
それでは感謝の気持ちを込めましてゴー♪
おじさんを演じる、とは……
前回、春野さんとの最後の公演の日々を若干変態みを帯びつつ書き連ねたが、ほぼショーのことだったので、今回はお芝居の事にも触れていこうと思う。
春野さんの卒業公演のお芝居『アデュー・マルセイユーマルセイユに愛を込めてー』。
作・演出は、演劇界の巨匠である小池修一郎先生。
小池先生は、自分の初舞台公演である『Never Say Good Bye』も作・演出されていたので、ご一緒するのは2作品目となる。
ここから先、自分が卒業するまでの13年間で、7作品出演させていただき、その都度沢山の事を学ばせてもらったのだが、この話をすると今回も「おじさん役者への道エピソード」が話せなくなるので次回じっくりお話ししようと思う。
『アデュー・マルセイユーマルセイユに愛を込めてー』は、1930年代のフランス・マルセイユを舞台にした、ワインの密輸と偽札問題とマルセイユ石鹸と、春野さん演じるマフィア(実は……)の超ダンディな男と桜乃さん演じるアルテミス婦人同盟(昼は観光ガイド)の恋の物語である。
(……なんとまあざっくりまとめてしまったことだ!気になる方は是非DVDをご鑑賞いただきたい。特に春野さんの登場シーンの「♪ボンソワール・マルセイユ~」は必聴されたし)
この作品の冒頭で、マルセイユに観光に来たお客さん達を引き連れ、ガイドである桜乃さんがチャーミングに歌う場面がある。
そこで、ガイドさんたちが「女性が選挙権を獲得できるように一生懸命活動しているんです!」と話しているのに、聞く耳を持たず「そんなことよりも夜の街を案内してくれないか?」と頼む観光客の男の役を、当時の花組組長である夏美ようさんが演じていたのだが、 その役を新人公演で演じることになった。
新人公演とは、普段公演している演目を、「宝塚歌劇団に入団してから7年目までの生徒」で配役し直し、「新人のみ」で演じる、若手育成の為の公演である。
この配役で、生徒は自分たちの今後の方向性がわかるので、下級生は憧れの役を演じることができるように精一杯努力する。
公演回数は、宝塚大劇場・東京宝塚劇場、各1回ずつのみ。
泣いても笑っても1回なので、本番の日の下級生は死ぬほど緊張している。
斯く言う私も、とある新人公演の本番前、緊張しすぎて胃潰瘍になったのだが自力で治した。という「本当(マジ)かよ!?エピソード」があるのだが、これも今回お話しすると……(以下略)なので、またの機会に。
当時、在団2年目を迎えたばかりの私にとって、組長さんの役を演じるのはかなりのプレッシャーだった。プレッシャーというか、何をどうすれば良いのか、全くわからない。という状態だった。
着ている服装(衣装)、夜の街を案内してくれよーという言動などから察するに、きっと35~45歳くらいの役であろう。
それくらいの年齢の男性が、マルセイユで観光している。
どんな風にはしゃぐのだろう……? いや、はしゃぐのか? はしゃぐような男なのか? でも、歌って踊っている……結構楽しんでいるように思える……。大人の男性でもはしゃいじゃう、そんな魅力的な町なのか! マルセイユは。マルセイユ……行ったことない。行った方が良いのか? 良いよな。でも……
私の頭の中はショート寸前だった。一人で役から離れたところでぐるぐると考え込み、ひとまずフランスのガイドブックを買い、観光地の写真を眺めてはまたぐるぐると考え込んでいた。
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