自分も「夢組」と「叶え組」でできている
「やりたいことがないのはなんでだろう?」と考え始めて、そもそもやりたいことがないなら何があったのか、何をしてきたのかというと、そこには「ガマン」があった。それをなくすために、やりたいことがないからといってイヤなことをしないために、どうすればいいのかを考え続けてきた。
「やりたいことがない」というとき、文字通りないのは「やりたいこと」だから、それを見つけようとする。どこかにあるはずだと探そうとする。でも、「やりたいこと」を、仕事として何ができるかだけで考えずに、欲や感情、性質、生活(時間やお金)など、個人的なものから自分だけの希望を見つけられるように、人間を、自分を、あらゆる方向から観察し続けた。
結局、自分は自分以外の人にはなれないけど、いいことがない思考パターンや思い込みを捨てながら、気に入った考え方や素直さを探すことはできた。はじめはマネでも取り入れてみたら、元は自分から湧いて出た考えではなくても、今までフタをしてきたから出すのに慣れなくても、多少無理してでもやってみると、それが習慣になった頃には自分のものになってくるのでおもしろい。習慣によって、自分にはなかった考え方が筋トレのように身について、行動や周囲の反応があとからちゃんと付いてきた。
ほっとくと「どうせダメだ」と考えてしまうクセや、自信のなさも、好きな考え方を採用して、自分に言い聞かせて淡々と意思決定を続けることで、習慣づけることのほうがつよいとわかったし、習慣は思い込みをこえると知った。そして、「こうやって考えると楽だな」「こう考えて行動するといいことがあるな」という考え方の「型」は、他人にも応用できるということもわかった。
今までわたしが書いてきたことは、「こうやって考えてこうしてみたよ」というわたしの考え方で、もともとは自分のためのメモだったけど、積み重ねたそのすべては、気に入ったら試しにやってみてねと言える「考え方集」のようになった。読んだ人が「その考え方に当てはめると、わたしの場合どうなるかな?」と自分のことを考えるきっかけになるといいし、「あの考え方をしてみようかな」と実験のように試してくれるといいなと思っている。
これからも、好きな考え方を「こんなのがあるよ」とオススメして提案していきたい。みんながそれぞれ好きな服を着るように、お気に入りの靴を履くように、好きな考え方を選ぶお手伝いができるとうれしいし、好きなやり方でいいんだと思えるきっかけになれるとうれしい。お気に入りの考え方を採用するのは、誰でも、タダで、今すぐにできる。失敗してもなんどもとり替えていいし、そのやり方があったかとどんどん新しく足していけるし、いいよね。
先日、そんな話を友達にしたら、「サクちゃんはクッキー屋さんから考え方屋さんになるんだね」と言ってくれて、とてもうれしかった。わたしは考え方屋さんになりたい。
やりたいことがない「叶え組」は、とつぜんやりたいことが見つかって「夢組」に変わるのではなくて、自分の中の「夢組」が顔を出すと、もともとあった自分の「叶え組」の力が思いきり発揮される。それまでは困っている自分をたすけるために使ったり、誰かのためだけに使ってきた同じ力を、自分のために使うだけだった。
世界は「夢組」と「叶え組」でできているし、自分も「夢組」と「叶え組」でできている。
やりたいことがあってもなくても、どんな環境でも、誰もがそうやって自分で自分をたすけ続け、自分で自分をよろこばせ続けるのだと思う。
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