世の中の規律がじょじょに普通に戻りつつある今、しかしいったんコロナ禍にハマった私達(今もコロナ禍ではあるが)の基準は、以前とはどこか異なっている。仕事柄、私はビフォーコロナから在宅勤務が主で、ひとりでコツコツ仕事するのはさほど苦ではない。されど、会社勤めを何年も経験している人がいきなり軟禁状態になるのは耐え難いと見え、縁遠くなっていた友人知人から連絡が入るようになった。
え、それってコロナスワッピング?
私としては単純によろこんでいたのだが、雑談というよりは愚痴を聞いたり相談されたりが多い。おそらく、既婚者だが子供はおらず会社員でもない、自宅での自由時間が多い(一応仕事しているのだが…)といった私の立場が吐き出し口としてちょうどいいのだろう。
コロナ離婚だコロナDVだ、と物騒な話題ばかりが際立っているが、私が久方ぶりの友人にLINEで告白されたのが、
「相手を交換してみない? って夫に言われたんだけど、どう思う?」
である。え、それってコロナスワッピング?
友人夫婦は結婚して20余年。大なり小なり危機はあったが、夫婦で乗り越えここまでやってきた。ふたりの子供もめでたく社会人になって、肩の荷が下りた。セックスレスの時期もありつつ、最近夫婦ふたり暮らしになったことでお互いが歩み寄り、そういう雰囲気になってきたのだという。
「へー、いいじゃん。でもなんで、いきなりスワッピングなわけ」
と掘り下げてみた。スワッピング、という単語が刺激的だったのか、友人からはしばらく返信がこなかった。スマホの向こう側で躊躇してるんだろうなと思い、辛抱強く待った。数分後、長文LINEがきた。かいつまんで言うと、こうだ。
友人、まどろっこしいのでR子とする、R子夫婦には、夫の元同僚であり家族ぐるみで付き合ってきたSさん夫婦がいる。共に同世代でのアラフィフ、子供の年齢も近く、手が離れた時期も似ていた。セックスレスからのセックス復活の時期もほほ同じらしく、しかしここにきてSさん夫婦は「誰かほかの人とやってみたい。もしくは3Pとか4Pとか」などと話し合うようになったというのだ。そこへやってきたのが、コロナウイルスである。つまり、不特定多数の人とやれなくなってしまった。さあ、どうする?