異性と対等な性行為がしたいのに

今回、牧村さんのもとには「異性と対等なセックスがしたい」という20代の女性からのお悩みが届きました。男性と性的なことをするとなると「性欲処理をしてやっている」という気分になってしまうという投稿者さん。牧村さんは2人の人物を引き合いに出しながら、対等なセックスとはどういうものかを考えていきます。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。/バナー写真撮影:田中舞 着物スタイリング:渡部あや

毎週水曜朝10時、「ハッピーエンドに殺されない」。お姫様は王子様と結婚してこそハッピーエンドだぞ!という声に流されることなく、自分の人生自分で決めていくための相談所です。

書いているのは女を愛する女、まきむぅこと牧村朝子です。そして今回ご紹介するのは、「異性と対等なセックスがしたい」というご相談。

えっと。

異性とは10年くらいやっておらぬわたしになんで聞いてくれたん……?

という気持ちになっております。すまん。cakesならポインティさんに「ワロタァ!」って盛り上げてもらうか、下田美咲さんに「旦那さんとは体目当てだった。」みたいな話をしれっとしてもらったほうがいい気がするし、実際あとで他の連載に相談することをお勧めしたい気持ちなんですけど、せっかくわたしに聞いてくれたので、ちゃんと答えますね。

「対等」に至る「転倒」の話です。

あとは、この「対等なセックス」に焦がれたのであろう男性、フランソワ・クプリーと、「対等な自由結婚をしたつもりだったのに」って唇を噛んでいたのであろう「第二の性」著者の女性、シモーヌ・ド・ボーヴォワールの話です。

まずは、ご投稿を読んでいきましょう。

異性と対等なセックスがしたいです。

こんにちは、Mと申します。 20代の女性です。

私は異性とセックスをしたことがありません。 異性とセックスをしない理由は、男女のセックスは対等ではない気がするからです。 殿方と性的なことをするとなると、私はどうしても「性欲処理をしてやっている」という気分になってしまいます。(前戯の段階で既にそうでした)

性欲は存在するのですが、私は特定の人間に欲情したことがありません。好きな人とでも、ハグできればそれで満足です。それ以上のことは、あまりしたいとは思いません。

自分で不思議だなあと思うのは、異性とのセックスはしたくないのに、同性とのセックスには特に抵抗がないことです。 同性とは1度だけ経験がありますが、普通に楽しめましたしこの上ない多幸感を感じました。相手が男性だと感じてしまう、対等でないという感覚もありませんでした。

ただ単に、処女だから抵抗がある~だとか、女性同士のほうが負担が少ないから受け入れられる~だとか、そういう事ではないような気がしています。

どうしたら、異性と対等なセックスが出来るのでしょうか。できれば将来、異性ともセックスを楽しみたいです。

牧村さん。 どうぞ、ご教授願います。

(全文そのまま掲載しました)


ご投稿ありがとうございます。もう一回謝るんですけど、ご教授はできないです。すまん。わたしも、男性……っていうか、「性的興奮によってパオンってなるゆるキャラ象さんマスコットをさげており、しかしながら、まあるいおっぱいも甘い香りもY字路の奥の秘密もない体をもつ人」だとわたしが認識してしまう相手には欲情しないもんでさあ。

そもそも欲情してないから、「組体操やらされてる感」しかないよね。

努力! 鍛錬! 協調性!!

で、「やらされてる」とか「やられてる」だと尊厳が傷ついて不快なので、「性欲処理をしてやっている」ステージに立って自らサービス提供者に徹することでどうにか尊厳を取り戻そうとする。そういうふうになってしまって、楽しめないんじゃないのかなあ。

楽しめないことは、無理にやんなくてよくない?って思います。大前提として。ご投稿者の方が「異性と対等なセックスを楽しみたい」とお書きになった、その理由は投稿文に書いていないんですよね。っていうかそもそも、自分にとって異性とはなんであるか……性器の形状なのか、総合的な異質性なのか、挿入/被挿入のフィジカルな部分なのか、リード/フォローのメンタルな部分なのか、っていうところも、たぶん、実はまだわかんなかったりしませんか。

選択問題じゃなくて、自由記述問題

あまりにも「異性愛/同性愛」という二元論がスマホ越しに言葉として広まってしまったせいで、人間が「異性/同性」に当然二分されるって考えてしまう感じ、あると思う。しかも「性の多様性!」とか言う割には「LとGとBとT があってね、生まれつきでね……」みてえなアメリカンな人種っぽい概念だけで「レインボー!ダイバーシティ!」ってやられちまうから、「えっ???自分はどれなん?」って、並んでるリストのどれかにチェック入れないといけない感に迫られちゃうんですよね。

ははっ。

虹を色別に区切ってるのは人間の価値観です。虹と空との境目を区切ってるのも人間の価値観です。みんなが虹を七色だと言っても、あなたには、あなたの見えている世界があるはず。だからまず、自分の性的嗜好を自分で知っていくといいと思う。指向じゃなくて、嗜好のほう。一体自分は何に興奮するのか。LGBT入門書の分類表にも、FANZAの検索カテゴリにも当てはめなくていいので。どこかに○をつける選択問題としてでなく、自由記述問題としての回答を探してみませんか。

わたしの自由記述例を出すと「ボーイッシュ巨乳が好き」とかなんですけど。だから、「同性愛者として……」とか「異性と……」みたいな、あらかじめ設けられた選択問題に関しては全く努力しなくなったんですよね。回答放棄〜。で、全然ハッピーです。イェイ。ハッピーエンドに殺されない。

しかし、それでも。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

3839Ay おすすめ! 3ヶ月前 replyretweetfavorite

isapilazull これで締めます。 https://t.co/ed 5ヶ月前 replyretweetfavorite

alflylah 「リングがベッドになるまで」とことん付き合えるのがパートナーというものだと思うのです。一回や二回で通じ合えるなんてそうそうない。 6ヶ月前 replyretweetfavorite

raisewaikemen_ 記事自体は何言ってるか終始分からなくてボーヴォワール新潮社の『決定版 第二の性』第二巻 中嶋公子・加藤康子監訳のパンチに負けてる https://t.co/smNdIAq6UY 6ヶ月前 replyretweetfavorite