私、持論はシュッとしてますけど、生き方はめちゃくちゃ泥クサいんです。

5冊の書籍を刊行し、エッセイストとして活躍している下田美咲さん。cakesの人気連載「下田美咲の口説き方」では、ロジカルを極めた持論を展開し、下田さんのことを「美人で頭が良くて人生イージモード」と思っている人も少なくありません。しかし、実は下田さんが自分の夢を叶えるまでには紆余曲折あり、かなり泥臭い生き方をしてきたのだそう。この連載では、今まで語られることのなかった下田さんの生き様を綴っていただきます。

改めまして、こんにちは、エッセイストの下田美咲です。

……と、そろそろ名乗っても良いでしょうか。

私は、2016年にcakesにて初の連載を持ちました。「下田美咲の口説き方」です。当時はまだ独身で、いろんな意味で今とは全く違った生き方をしていた中で、私のことを「作家」だとか「エッセイスト」とは自他ともに誰も思っていない状況での始まりだったのですが、実は私自身は物心がついた頃からエッセイストを目指しており、だけどどうすればなれるのか分からなくて、もがいていたような時期でした。(なり方も分からなかったけど、書き方もよく分からずでした)

そんな、物書きとしては分からないことだらけのヒヨコの状態でありながら、 cakesで書くようになり、早くも4年が経ちました。自分でいうのもあれですが、「下田美咲の口説き方」は人気連載になり、私の人生を大きく変えていきました。

この連載がキッカケで、たくさんの読者さまに出会うことができて、書きたいことを書いているだけで豊かに暮らせるようになりました。エッセイストとしてテレビに出ることもできました。念願だったドキュメンタリー番組に密着をしてもらえて(セブンルール)、「ぼくらの時代」では大好きで偉大な2人(ロンブーの淳さんと、チュートリアルの徳井さん)と対談をするという奇跡まで起こりました。新たに4冊の本を世に送り出すこともできました。

さて、この度、新連載を立ち上げることにした理由なのですが「今さらだけど、自己紹介がしたい」と思ったからです。というのも、この数年でずいぶんと私の見られ方が変わってきました。なんというか……

あれ、完璧な人って思われてる……?

と感じる瞬間がよくあって。

実態とはかけ離れた下田美咲像が一人歩きしている

「クール」で「合理的」で、ひたすら「ロジカル」で、シュッとした思考の持ち主だと思われてるような、さほど汗も冷や汗も恥もかかずに30年間スマートに生きてきて、地頭がいいことによってサクッと成功しちゃってる人生イージーモードのエッセイストみたいに思われてるような気がするんです。

とくに、エッセイを通して私のことを知った組の人たち。つまり、わりと最近になって「下田美咲」を知った人たちは、私に対して泥臭いイメージを持っている人が全然いなくて、そういう認知の分母が年々増えているように感じるんです。

連載を開始したばかりの頃は、エッセイスト以外の「下田美咲」の姿を先に知っていて「あの下田美咲が文章を書いている」って思っていた人が多かったのですが、今となっては結構多くの人が「コールの女王」だった過去などは知らずに「エッセイを書いている下田さん」として私を認識しています。

それはとても嬉しいことであり、目指してきた状況なので祝杯をあげたいくらいおめでたいのですが、ただその一方で、実態とはかけ離れた下田美咲像が一人歩きしているような感覚があって、それは自分にとってマイナスだと思ったんです。

ということで、今さらだし、唐突なのですが「自己紹介をしたい!!」と思いました。

私、持論はシュッとしてますけど、生き方はめちゃくちゃ泥クサいんです。

私の人間味を感じてもらえたら

あとよく「思考が面白い」ってホメてもらえていてとても嬉しいんですけど、それよりも私が生きてきた人生(実際に取ってきた行動)のほうが断然、面白いんじゃないかと思ってます。持論が霞むくらい。

この4年間、エッセイを通して「下田美咲」と出会ってくれた人は、私に対してキレキレの持論のイメージだけを持っていて、あまり人間味を感じていないような気がしますが(連載原稿は推敲をしまくっているし、だいたいのイメージ写真が真顔でキメキメだからそれは当然だと思います)、この辺で「いや、そんなことはないんだよ!!!」と訂正というか補足をしておきたい。

なぜなら、きっと人間味の部分も知ってもらった方があなたは私の事を好きになると思うし、ロジカルなだけに見えていた文章までも味わい深く感じ始めると思うから、ぜひとも、もう少しいろんな角度から私の事を知って惚れてほしい。という私利私欲です。(でも、読んだ分だけ楽しんでもらえる文章は書くつもりなので、安心して私に時間を使ってみてください!)

ということで、シュッとした持論系の連載とのギャップを埋めたくて、私はこの度、今さらだけど自己紹介をするための新連載を書かせてもらうことにしました。

エッセイストになりたいと思った理由

今日は【私とエッセイスト】というテーマで語ってみます。

私は今、誰がどう見てもエッセイストとしか言いようがない生活を送っているのですが、エッセイストって不思議な職業だと思うんですよね。どうやってなるのか、分からなさすぎませんか? 歌手とか俳優とかはオーディションや養成所があるし、漫画家とか小説家なら新人賞とか持ち込む先があるけど、それに比べてエッセイストって、新人の受付窓口がぜんぜん見当たらないと思うんですよね。少なくとも私が「エッセイストになりたい!」と思った12歳の頃から、なれずにいた十数年間はそれらしき窓口がありませんでした。

さて、今さらっと触れましたが、私が「エッセイストになりたい!」と思い始めたのは小学校の高学年の頃でした。(おそらく!そして自分的に物心が付いたのがその頃です)

キッカケは、さくらももこさんのエッセイを読んだことでした。たしか『もものかんづめ』で、そこには自分にとって人生を変える数ページがありました。アニメや漫画では「最高のおじいちゃん」として描かれていた友蔵が実はとんでもないクソじじいで大嫌いで、その反動で作品の中では「自分の理想のおじいちゃん」を描いた、というようなくだりがあったのです。マジで大嫌いだったからお葬式では笑った、というような記述もありました。(読んだのが20年近く前のことなので勘違いがあったらごめんなさい、でも人間の記憶力は儚いのでいちいち責めないでください、ただ私の中ではそういう印象として残っています)

私は、そのくだりに衝撃を受けました。「エッセイって、こんなにもブラックな表現が許されるんだ……!だってこの本、大手の出版社が出してて、超売れてるよね、それなのにこんな不謹慎なことを書いてまかり通るなんて!!!すごく柔軟な世界だな!可能性が無限大じゃん!」と思ったのです。

生まれついた家庭であるメンバーの祖父がクソだった(自分では選べない家族がハズレだった)、という一見すると災難でしかない出来事が、そのエッセイの中では完全に面白さのキーとなり、ネタとして輝きを放ちまくっていたことが、少女だった私にとってかなりの衝撃でした。「そんな活用法あるの?!」という状態。

エッセイストになるために

そうして私は、エッセイストという仕事にかけがえのない魅力を感じたのです。エッセイを書いてお金を稼ぐ人になることができれば、人生に起こったイヤなことをどんどんネタとして活用できるかもしれない。そうなれたら、生きているだけでストレスだらけの【こんな世の中・こんな人生】だけど、それでも「ま、今となっては結果オーライかな!あのことがあったおかげで面白い原稿が書けて、儲かったし!」と言える自分になれる気がしました。というか、なりたい。なれないとしんどい。だって人生って、すごく大変。地球って、わけの分からないイヤな人が多すぎ。

そうして少女だった私は「いつかエッセイを書いてお金を稼げる人になりたい!」と思うようになったわけですが、「でも、どうやってなるんだろう?」と調べれば調べるほど、「エッセイストというのは何らかのキッカケで知名度をゲットできた人が結果的にたどり着く職業であって、エッセイストでしかないエッセイストっていうのは、ほぼいないし、いてもあまり成功しないんだな……」という仮説が立ったため「よし、『エッセイを書きませんか』っていうオファーが来る程度に有名になろう、なんでもいいから何かで成功しよう」という方針で生きてみることにしました。

そうして紆余曲折があって、26歳頃からエッセイストとしてグイグイ頭角を現すようになって、気付けば子どもの頃から胸に秘めていた夢を叶えることができたのですが、その紆余曲折の泥クサさがハンパじゃないので、この連載で紹介していきます。読んだ分だけ「なんだ、下田美咲って超人間じゃん。(読む前よりもちょっと)好きだ」と思ってもらえたら幸いです。

嫌われることを恐れてはいないですし、全ての人から好かれたいとは全然思っていないですが、自分のことを好きな人の分母は夢が叶う確率に比例する(自分のことを好きな人がたくさんいたほうが夢は叶いやすい)と考えているので、好きになってもらえることは嬉しいし助かるし大歓迎だし、そのための種まきは全力でするタイプの人間です。

10代の頃から体を張ってきた

ということで最後に、冒頭でお話しした「下田美咲の口説き方」の第1回の時に担当の編集者さんが書いてくれていた紹介文が今回の新連載の伏線になっていたのでご紹介させてください。

(以下、引用)

下田美咲さんという女性をご存じでしょうか。13歳からモデルをしながらも事務所には所属せず、自宅の車を宣伝カーに改造してゲリラパフォーマンスを行ったり、「飲み会コール動画」などのオリジナル動画を180本以上手がけてYouTubeにアップしている一風変わった美女です。そんな下田さんは、恋愛においても全力投球し、10代の頃から身体をはって愛と契について研究してきたのだそう。その結果、男性や恋愛に関して独自の持論を持つようになったようで……。

***

どんな風に体を張ってきたのか、どんな研究をしてきたのか、そういえば書いたことがないことだらけだったけど「改めて振り返ってみたら、めちゃくちゃエッセイ向きな人生を送ってきたな」と思ったので、コツコツとエッセイにしてみます。いつか『もものかんづめ』くらいに、多くの人から愛される1冊を世に送り出すことを目指して。

この連載について

下田美咲のあまりにも泥臭い生きざま

下田美咲

4冊の書籍を刊行し、エッセイストとして活躍している下田美咲さん。cakesの人気連載「下田美咲の口説き方」では、ロジカルを極めた持論を展開し、下田さんのことを「美人で頭が良くて人生イージモード」と思っている人も少なくありません。しかし...もっと読む

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EqXI6NEvrJTqNqu 勉強になりました https://t.co/tekCrLYRqU 6ヶ月前 replyretweetfavorite

kokomo0723 読んだ記録 「シュッとしてる(≒自信がある)」というよりもむしろ「自己肯定感が高い」って印象を持ってて、それって幸せでいるためにすごく大切なことだと思うので、その視点で読みます https://t.co/Gz8rVbTIb8 6ヶ月前 replyretweetfavorite

SALA_05 "エッセイを書いてお金を稼ぐ人になることができれば、人生に起こったイヤなことをどんどんネタとして活用できるかもしれない。" そういう乗り越え方って、かっこいい。ネタにして消化できたら、生きるのがもっと楽になるかも。 https://t.co/8kEkMi3YG7 6ヶ月前 replyretweetfavorite

shimodamisaki わ!やった!!2位だ😍嬉しい😍 ㊗️ 6ヶ月前 replyretweetfavorite