マレーシアに来て、1つ変わったこと、それは「勝ち組」「負け組」という観念が薄くなったことです。
「良い学校」があるわけでない
よく日本から来たばかりの方に「教育レベルの一番高い学校はどこですか」と聞かれて困ります。
偏差値的なレベルの高い学校はほぼ存在せず(あっても中華学校などで、英語と中国語、マレー語の3ヶ国語ができない日本人にはそもそも学力のハードルが高いです)、名門校と言われている学費の高い学校にも、普通に勉強のペースがスローな子が存在します。
そして多くの学校で、発達障害のあるお子さんも一緒に学んでいることが多いです。息子の学校もそうでした。
マレーシアのある教育者の方が、「良い学校があるわけではない。あなたの子に合った学校があるだけです」と書いていました。その通りです。
そして、これがホームスクールになると、さらに違います。
一人として同じ個性がいません。
子供たちは勝手に「自分」になっていく。
先生たちはほぼ何もせず、本人たちの方向を伸ばすだけ。
日本の場合、足りない能力を伸ばすように教育されます。ところが英国系などでは、中学生から科目を「捨てる」選択肢があります。
選択してさらに数年すると、それぞれ、いよいよ個性が強くなります。
ホームスクールで、同じプログラミングを志向していても、それぞれバラバラです。
Pythonが好きな人でも、デバッグが得意な人、ゲームのプログラミングができる人、データサイエンティストになりたい人、いろんな人がいるので、そこで分業するわけです。
ただし、この協力は決して「一致団結して同じことしなさい」ではないんです。「お互いの能力を補い合う」に近い。できることとできないことを分業するわけです。
個性を重視すると協力が生まれる
先生たちも個性が豊かです。「量子力学はこの先生が詳しい。生物学&Pythonならこの先生」「宇宙物理はこの先生が上手に教える」「この先生は物理を中国語で教えられる」「こっちの先生は特に得意はないけど、親切で優しいから相談しやすい」みたいになります。個性を使い分けるんです。
すると、人っていればいるほど「お、仲間が増えた」ってなるんですね。
新人がくると、「この新しい仲間はどんな能力を持った奴なんだろ。楽しみだな」と。
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