ビッグデータの可能性は、しばしば石油の利用方法の発達に例えられます。かつて石油は、火をつけて燃やす以外にはこれといって使い道のない液体でした。元はと言えば大昔の植物や生物の死骸ですから、要するに古代の「ゴミの山」だったわけです。しかし、この「ゴミの山」の利用方法、時代と共に徐々に開発されていきました。発電所が作られ、自動車が発明され、プラスチックが発明されるに至り、「ゴミの山」が「宝の山」へと変っていったのです。
石油は採掘業者が掘り出して精製しただけで価値を得られるわけではなく、石油を必要とする様々な製品が開発されて、初めて商品価値を持ち得たのです。ビッグデータもおそらく、ビックデータを掘り起こして解析する側だけではなく、データを利用する側がさまざまな利用方法を開発して、初めて「ゴミの山」から「宝の山」へと生まれ変わるでしょう。
ちょうど採掘業者と精製業者だけでは、石油が宝物に変わらないのと同じように、ビッグデータを宝の山に変えるには、データ・サイエンティストとプログラマー以外にも、さまざまな専門家の知恵が必要となるでしょう。ビッグデータはやがて、新しいビジネスを生み出し、さまざまな業務の在り方を根底から変え、これまでは存在しなかった新しい職業や雇用を生み出すでしょう。
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