去る9月10日に、新しいiPhoneが発表になりました。しかし、かつてほどの興奮もインパクトもありません。5sも5cも実に魅力的な商品ですが、良くも悪くも今までの正常進化系に過ぎず、初期のiPhoneやiPadのようなワクワクとしたは興奮がありません。
このワクワク感のなさを、ジョブズ死去に求める人も多いでしょう。確かにそういう要素も否めないのではないかと思います。しかし実際のところ、ジョブズはガン闘病で、会社にずっと来ていませんでした。ティム・クック政権は2011年以降からではなく、実質的に2008年頃からだったのです。それでも無事にMacBook Air やiPadといった製品やSiriのような技術が生まれ、アップルは劇的に売り上げを伸ばし続けたのです。ジョブズ喪失は確かにアップルにとって大きな痛手ですが、ジョブズなしでイノベーションできないといった見方にはかなり違和感を感じざるを得ません。
アップルはそもそもイノベーティブか?
そもそも、アップルは本質的な意味でのイノベーティブな会社なのでしょうか? GUIも、iPodもiPad さえも、そして、今回の指紋認証でさえ、常に先例があったのです。アップルの強みは、そうした「イマイチ」な製品を磨き上げ、新たな命を吹き込んで世の中に送り出すところにあると言えるでしょう。
具体的にはどこを磨き上げたのでしょうか? アップルというと「美しい製品デザイン」が語られますが、それは本質的な強みではないと思うのです。アップルの本当の強みは、テクノロジーをよりいっそう身近にしてくれる卓抜したインターフェイス・デザインにあるのです。そして、このインターフェイス・デザインの秀逸さこそが、アップルをイノベーティブな会社と言わしめている所以でしょう。
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