低金利継続で年金運用に漂う暗雲 始まる年金積立金取り崩し

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の目的は、中長期で着実に収益を積み上げることである。ポートフォリオや今後の運用利回り、年金積立金取り崩しの影響を検証する。

 年金積立金は、現役世代が支払う年金保険料のうち、年金の支払いなどに充てられなかった分を、将来のために積み立てているものである。その運用を、厚生労働大臣から委託されているのがGPIFだ。

 GPIFの役割は、名目賃金上昇率を上回る運用利回りを達成することである。新聞等では四半期の収益が大きく報道されるが、これは年金運用の評価としては正しくない。年金の運用は、資金の性格上、長期運用により安定した収益を得ることが目標だからだ。

 現在の運用額は約160兆円で、基本ポートフォリオは、国内債券が35%、国内株式が25%、外国債券が15%、外国株式が25%。2014年10月までは、国内債券が60%と半分以上であったが、運用利回りから名目賃金上昇率を引いた実質運用利回り(スプレッド〈差〉)で1.7%を確保すべく国内外の株式比率を50%まで高めた(下図参照)。


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 ポートフォリオの変更については、経済学者の間でも賛否が分かれている。だが、株式運用のリスクを指摘する専門家でも、現在のゼロ%前後の国債利回りでは国内債券中心で運用するべきだとは言いにくい。なぜなら最低限、名目賃金上昇率を上回る利回りを確保しないと、積立金が目減りしてしまうからだ。

世界的な株高により
運用開始以降のリターンは順調

 年金の財源のうち、保険料収入が約70%、国庫負担(税金)が約20%。積立金から賄われるのは約10%だ。積立金から賄う部分は、一見すると少ないように思える。だが、少子高齢化で財政が厳しくなる中での1割は大きい数字であり、運用で成果を上げることは重要だ。

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