国民・厚生年金格差と世代間格差 解消への道筋は見えず

国民年金(基礎年金)と厚生年金の給付額減少幅の格差と、現在の世代と将来世代の給付水準の世代間格差は解決されるべき課題。現在、予想される改革案では、その解消には力不足だ。

※ 『週刊ダイヤモンド』2019年10月12日号より転載(肩書・数値などは掲載当時)

 公的年金には解消すべき格差が二つある。一つは、厚生年金の報酬比例部分と、現状では給付水準が低下し過ぎてしまう国民年金(基礎年金)との給付額減少幅の格差(厚生年金は報酬比例部分と、国民年金と同じ給付額となる基礎年金から構成される)。もう一つは、給付水準の世代間格差である。

 国民年金のみの受給者や、厚生年金加入者でも低所得で基礎年金の比率が高い受給者の給付水準が低下し過ぎると、老後の生活維持に問題が生じる。また、財政を持続させるための給付抑制が長期化することで、既存の受給者と将来世代の受給者の給付水準格差が開き、世代間の不公平が拡大する。

 安倍内閣は、年末にかけて公的年金の改革案をまとめる予定だ。年金改革には、財政改善という視点だけでなく、これら二つの格差の解消を視野に入れることも必要だが、現在予想される改革では、格差はあまり解消されず放置されたままとなりそうだ。

 国民年金と厚生年金の格差はなぜ生じるのか。それはマクロ経済スライドという仕組みによる年金給付の抑制期間が、国民年金の方が長く厚生年金の方が短いためだ。

 財政検証の各ケースの給付調整終了時の所得代替率に差が生じる理由も、マクロ経済スライドによる調整期間の差にある。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

週刊ダイヤモンド 2019年10/12号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2019-10-07

この連載について

初回を読む
年金の真実 あなたが本当にもらえる金額

週刊ダイヤモンド

厚生年金、国民年金の財政は持続可能なのか。結局、いくら受け取ることができるのか。まず、2019年8月末に発表された年金の財政検証で示された経済前提の六つのケースを分析し、現実的なケースを選び出した。そして今後、講ずるべき改革案を検証す...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード