現状では所得代替率50%維持は困難  “100年安心”は崩壊寸前

年金財政検証の六つのケースのうち、現実的なのは経済前提の水準で見てケースⅤとⅥだ。その前提では、今後100年間にわたり所得代替率50%という政府の目標を維持できない。

 実現する可能性の低い「楽観ケース」以外では、“100年安心”は保証されない。これが今回の年金財政検証の結果だ。

 つまり、現実的な経済前提では、政府が目標とするどちらか1人が働いている夫婦2人のモデル世帯の所得代替率(65歳時点で受け取り始める年金額の、現役世代の平均手取り収入額に対する比率)50%を100年先まで維持できないということだ。

 今回の財政検証では、六つの経済前提のケースが示された。前提が楽観的な三つのケース(Ⅰ~Ⅲ)は、内閣府の「中長期の経済財政に関する試算」にある「成長実現ケース」が目先の2028年度までの前提となっている。

 しかし、実績を見る限り、実質経済成長率(21~28年度の平均)1.8%、消費者物価上昇率(同)1.7%、名目賃金上昇率(同)2.8%という成長実現ケースの水準に達する可能性は低い。18年度までの過去6年間の平均実質経済成長率は1.2%、同消費者物価上昇率は0.9%、同名目賃金上昇率は0.4%。成長実現ケースを大きく下回る。

 現実的なのは、ケースⅣ~Ⅵが前提とする「ベースラインケース」(21~28年度の平均実質経済成長率1.1%、同消費者物価上昇率0.8%、同名目賃金上昇率1.3%)だろう。


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