「デザイン思考」とは何か。「以前から耳にはするが、よくわからない」という人も多いかもしれない。その理由は、デザイン思考が「派生」と「進化」を繰り返しているからだ。
デザイン思考は、米国のデザインコンサルティング会社、IDEO(アイデオ)が1980年代につくり出したものだ。その後、世界中に広がり、デザイン思考をカスタマイズした手法や、独自解釈したものなどがさまざまなところで生まれた。さらに社会状況とともにデザイン思考も進化を続けているのだ。
わかりやすく理解してもらうため、ここでは、「本家」ともいえるIDEO関係者の書籍やコメントを基に解説する。
まず、デザイン思考の根底の哲学は、「人間はみんなクリエイティブだ」である。これは、IDEO創設者のデイヴィッド・ケリー氏と共同経営者のトム・ケリー氏が記した書籍『Creative Confidence』(創造力に対する自信)のタイトルにも表れている。自分の創造力を信じることが、イノベーションが起こる上での核となる。自身はクリエイティブ系ではないとか、絵心がないとか、そういった「信じ込み」や「バイアス」は捨てなければならない。むしろそれらは言い訳であり、開花のタイミングだけで、人間は誰でも無限の創造性を秘めているという。
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