インタビュー】辰野 勇(モンベル会長)

【「自分が欲しいもの」を作り続けてトップに成長した】
国内で登山用品店では最多の130店舗を持ち、海外ブランドへの素材提供や自社商品の海外展開も進めるモンベル。アルピニストでもある辰野勇会長に、頂点に至るまでの軌跡を聞いた。

たつの・いさむ/1947年大阪府生まれ。スイス・アイガー北壁の最年少登頂記録を持つ。商社勤務を経て75年にモンベル創業。Photo:Masato Kato

──一代で売上高840億円、国内首位の登山ブランドを築きました。

 登山専門店の多くは登山家が「山道具に囲まれて商売したい」と起業するものですが、将来後継者問題に悩まされることは創業当時から想像できた。毎年若い社員を迎え続けるためには成長しなければならないと、当時の登山市場500億円の20%の売上高100億円を目標にし、創業3年後には海外進出しました。

──モンベルの強みは何ですか。

 社員です。創業直後からあらゆる年齢層の山好きが、自分の好きなことを仕事にするために集まりました。当社の商品は登山用品もカヌー用品も正しく使用しなければ命に関わる。店舗で情熱を持ってお客さまに正確な説明ができる人材は欠かせません。自社での出店目標はなく、依頼を受けて採算が取れると判断したところに受動的に出してきただけですが、それを維持してこられたのも社員の力。財務諸表に出ない資産ですね。

 モノづくりの力も強みでしょう。競合他社や市場のトレンドを気にせず、お客さまのご用聞きにならず自分たちの欲しいものを、100%自社開発で作ることが創業時からの一貫した方針です。社員なら誰でも新商品の企画案が出せ、何千点と集まる案の中から選抜して開発します。山で茶をたてる「野点セット」や俳句を詠むための「野筆セット」は僕の企画。爆発的には売れないけれど(笑)。僕が登山のときに欲しいものは、団塊世代のお客さまは結構共感してくれる。

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週刊ダイヤモンド 2019年10/5号 [雑誌]

ダイヤモンド社,週刊ダイヤモンド編集部
ダイヤモンド社; 週刊版
2019-09-30

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日本の山が危ない 登山の経済学

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山地が国土面積の6割以上を占める日本で、日本人は古くから山に親しんできた。近年のブームもあり登山というレジャーは国民に広まり、シーズンには有名山岳は老若男女の登山愛好家でごった返す。ところが、その登山を支える構造に今、異変が起きている...もっと読む

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