とうとう緊急事態宣言のひと月の延長が決定しました。(ゴールデンウィークに書いています)
日々、コロナ絡みのマイナス情報が報道され、「ニュースを見てると気分が悪くなる人」が出てきているようで、ある番組ではアナウンサーが、「コロナ関連のニュースは40分までなのでご気分が悪くなる方はその時間以降に番組をご覧下さい。」と言っていました。
親切だけど、そう言われると私もそうなるような気がする・・・とテレビを消してしまいました。
みんなの不安度が上がっていくなか、よくこのエッセイにも登場する仲良しの後輩からLINEが・・・。
「発熱しました。」(体温計の写真と共に)
「え——!!!(というスタンプ)」と私。
速攻電話をしたら、
「やばいっす。これはもう完全にかかったと思います。」と、暗い声の後輩。
「マジで?!何度?どんな感じ?」
「熱はそんなに高くないんですけど、だるいんです。」
「うーわ!ヤバいヤバい・・・どうしよう!」焦る私。
今回はすぐに駆けつけることが出来ないタイプのやつなので、私もどうしてあげたら良いかわからず激しく動揺。
「夕方までは普通に仕事してたんですけど、夜になったら急にしんどくなってきて熱測ったらちょっと高いし。」
「わわわわ!そうか。明日は休み?」
「はい、明日明後日は休みですけど、しあさってからはまた行かなあかんのですよ。」関西出身、美容師の彼女。
美容院は、小池都知事と国の意見が合わず、まだ休業要請が出ていない時期でした。
「いやー、あかんやろ、それは・・・とりあえず様子見なあかんから、4日間は休めるように上の人に言い!」
「はい、もう伝えました。店ごと休むかも検討中なんで。」
「せやなぁ、もう休業でもええと思うけど・・・。」
「そうなんですよ。私はそう思うんですけど、うちの会社は要請出ないと閉めない方針みたいで。私は閉めて欲しいんですけど、そしたら、下の子たちが食べていけなくなるんで。」
出た!中間管理職の悩み・・・
ニュースのインタビューでよく聞くセリフがこんなに身近な人からも・・・。
「そうか・・・それはしゃあないから、今はとにかく体温測って食べれるものを食べて休みなさい。」
「はい。」
「また様子教えて。」
「はい。」段々声が小さくなる彼女との電話を切るのが辛かったです。
具体的に、どう動けば良いのかを考えたら更に怖くなりました。
彼女の住んでいる地区ではPCR検査を既に駐車場で行っている病院があるのは知っていましたが、噂では車で長蛇の列が出来ていると聞いたし、車のない彼女はタクシーで行くのかと考えたら、待ち時間が長くなると辛いだろうし、かと言って私が送迎することも今回は出来ないし・・・
とにかく今出来ることをと考えて、次の日、同じく心配している家族と共に、食料を玄関先に届けに行きました。
水分補給がしやすそうな栄養補助ドリンクとカットフルーツと、簡単に食べられそうなレンジ調理用冷凍食品などを一人暮らしのアパートの玄関に置き、ドア前でインターホンと同時に電話をかけて、
「来たよー。食べ物置いとくよー。」
「え!?わざわざ来てくれたんですか?」
「うん、暇やし。車で来たよー。」
「えーすんませーん!!ありがとうございます!」
「マスクでの営業とか消毒とか色々いつもと違う状況で働いてたから疲れが出ただけかも知れんし、とにかく今はゆっくりしときやー。」
「そうですねー。ほんますんません。」
「謝らんでええし!じゃあ下で車待ってくれてるから、もう行くねー。」
「え!パパも来てくれたんですか?!」
「うん、暇やから行くって運転してくれた。」
「いやー、それは申し訳ない。」
「ええねん、ええねん、暇やから。」
などと短く会話をして立ち去りました。
車に乗り込もうとした時、
「ようこさん!」
と遠くで声がした気がして振り向くと、彼女が2階の踊り場まで出てきて手で口を押さえながら頭を下げていました。
「えー!もう良いのにー!寝ときやー!」
と手を振っていると車の窓を開けてパパと息子も手を振り始めました。
遠いから大丈夫なのに手で口元を押さえて、声を出さないようにしている彼女を見て、泣きそうになりながら、出発しました。
なにこれ、切ない・・・。
一人暮らしの女性がもしも感染したらこんな感じになるんや・・・
私以上に彼女はこれから自分の症状が悪化したらと考えると不安で仕方ないのではないでしょうか・・・。
検査は無事に受けられるのか、2週間以上の隔離生活になるのか、今まで接触したお客さんやお店の人へどう伝えたら良いのか・・・もう横になっても眠られへんのんとちゃうかな・・・。
もしかしたら今後ひと月以上彼女には会えないかも・・・。
と、ここまで真面目に語ってきましたが、この話には「オチ」があります。
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