「紹介業」ってなに?
いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。
僕がやっているバーテンダーという仕事は、とにかく色んな種類の人間に出会えるのですが、以前、こういう人と出会いました。
名刺をいただいても、どういう仕事なのかわからないタイプの人っていますよね。その人もそうだったので、「具体的にどういう仕事をされているんですか?」って質問してみたんです。
そしたらその方、「いやまあ、要するに紹介業です。誰かからこういう人を探しているよって聞いたら、じゃあこの人なんか良いんじゃないかなって紹介しているだけなんです」って仰るんです。
その方が言うには、「自分は長いことこの業界にいて、そんなに才能はないなってわかったんです。でも、どうやらみんな私のことは嫌いにはならないようで、何かと飲み会や集まりや、新しい企画の時なんかに、お声がかかるんです。それでまあ、長い間この業界にいて、成功した人や嘘をつく人、ちゃんと仕事をやる人や適当な人といった色んな人を見てきたからか、人を見る目だけはあるようなんです」だそうなんです。
後からわかったのですが、本当の肩書きは「プロデューサー」とか「コーディネイター」とかって感じで、色々と活躍はされているんです。でもご本人は、「自分に何か秀でた特別な才能はない。たまたま色んな人を見てきたから、人を見る目はあるし、どうやら自分は嫌われないタイプのようだから、お話やお誘いだけは来るからそれで食いつないでいる」って繰り返し仰るんです。
その方とお会いしてから20年以上経っているのですが、考えれば考えるほど、「大切な仕事、大切な役割、特に今のこの時代の人だなあ。あの人は先取りしてたんだなあ」って気づくんです。