鈴木圭介
バイオレンスの巻
バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワーカンパニーズ鈴木圭介の自意識爆発エッセイ集『深夜ポンコツ』から傑作コラムを特別公開!「たとえ今が冬だったとしても、季節は巡る。春はまた来るのだ!」
職務質問(通称、職質)を受けたことがない。今まで一度も。なぜだ? 周りのバンド仲間(フラカンメンバー含む)は大抵、みんな1回は受けている。1回どころかリーダーはしょっちゅう受けているらしい。ただ歩いているだけなのにお巡りさんに呼び止められて、質問されたり、ボディチェックされたり、鞄の中身を見せてくれとまで言われるというのだ。
俺はない……自転車に乗っていて防犯登録されているか確認されたりすることはあるが、職質は一度もない……なぜだ?小さすぎて見えないのか? 人間がセコすぎるからか? 前髪が短すぎるからか? そもそも職質ってなんだ? 治安維持のために危なそうな奴を捕まえるため? 非合法な薬とか爆弾、ナイフ、銃とか持っていないか確かめるため? バンドマンは大体普通じゃない格好や顔をしているからみんな職質を受けるの? だとしたらそれはバンドマンにとって恥でも何でもなく勲章だ。ロックバンドたるもの危険な匂いのひとつもなければ魅力がない。昔からロックの魅力のひとつには必ずバイオレンスがある。
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この連載について
鈴木圭介
バンドマンなのに革ジャンが似合わない、ロックバンドのボーカリストなのに肩書以外過剰なところがひとつもない……カッコつけてると思われたくなくてカッコつけられない! 自意識と憧れの狭間で叫ぶ! 2020年5月下旬発売、ロックバンド・フラワ...もっと読む
著者プロフィール
ロックバンド、フラワーカンパニーズのボーカル。1969年4月30日札幌生まれ、名古屋育ち。1989年、フラワーカンパニーズを結成。全国を機材車で駆け巡り、年間100本近いライブ活動を展開。楽曲「深夜高速」が多数のミュージシャンにカヴァーされ話題に。著書に『三十代の爆走』、『イッツオンリーロッキュンロール―鈴木圭介全歌詞集』、フラワーカンパニーズ『消えぞこない 〜メンバーチェンジなし! 活動休止なし! ヒット曲なし! のバンドが結成26年で日本武道館ワンマンライブにたどりつく話〜』がある。