こんにちは。少し間が空いてしまいましたが、お元気でしょうか。今回も、最新の美術展をご紹介していきます。
東京・竹橋にある東京国立近代美術館へは、行ったことがありますか? こちらの館は、まずもってロケーションがすばらしい。目の前が皇居なので、眺望が開けていて心地いいのです。常設展示室内の休憩所からは、皇居の緑を見下ろすことができて、それだけでも訪れる価値ありです。
いまなら企画展も大いに興味をそそられるものが開催中ですから、いっそうお勧め。1階の広大な展示スペースを使って展開されているのは、「竹内
竹内栖鳳という名は、耳にしたことがございますか? 字面からして「いかにも」という感じですが、明治から昭和にかけて活躍した日本画家です。では横山大観という名はどうでしょう。こちらはきっとご存知ですよね。同じ時期に名を馳せた画家です。東京を拠点にした大観に対し、栖鳳は長く京都にいて、当時は「東の大観、西の栖鳳」などとうたわれたものでした。
栖鳳の古びない魅力はどこにあるのかといえば、彼がとことん観察と写実を旨としたところです。外界にある事物をしっかり観察すること。それは洋の東西を問わず絵画の基本。が、長い伝統を誇る日本画の世界では、明治のころ、観察というものが少々おろそかにされていました。実物に則するよりも、自身が属する流派の「型」をなぞることにばかりに血道を上げる画家が目立ったのですね。