同性愛者の場合、人生のモデルケースというものは簡単には見つからない。でも、自分のセクシュアリティに向き合って生きていく仲間の姿を間近で見ていれば、ロールモデルがなくても自分の人生を肯定できるようになるのかもしれない。悠さんは自分の作る場が、次世代の人たちの居場所になってほしいという。
「自分たちがやっていることが、どっかで誰かの助けになったらいいなって思うし、そうすることで自分も救われているところもあるよ。規模はぜんぜん小さいけど、最近は新しい若い人たちも増えてきたし、アライの人たちもきてくれるようになったしね。最近、ビアン同士の交流会とかもやってるけど、毎回結構盛況な感じになってきたよ」昨今はネットを通じてセクシュアルマイノリティ同士のマッチングもできるようになってきている。地方では候補者数が少なくて出会うのも一苦労のようだが、都会なら多少は幅も広がるらしい。出会いの観点から見ても、やはり都会と田舎でセクシュアルマイノリティの明暗は分かれてしまうようだ。
池袋西口公園に差し掛かると、途端に風景は開けてくる。噴水を横目に見ながら前から思っていた疑問をぶつけた。「わたし、レズ風俗の仕事を半年ぐらいしているんですけど、自分がレズビアンだという自覚のある人は、意外と少ない印象を持ってます。特に悠さんみたいに二丁目にいる人は初めてです」
悠さんのグロスだけ塗られたぽってりした唇が横に広がる。「あー、そんなもんなんだろうね。やっぱ、二丁目に来るような人は、あんまりこういうサービス利用しないんじゃないかな」
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